TAMRONSP 35mm F1.4 Di USD
タムロンから新しい大口径単焦点レンズ『SP 35mm F1.4 Di USD』が発売されました。
SP (Superior Performance)シリーズ40周年の節目から、最上級の描写力を目指したという本レンズ。F1.4の大口径ということで少し大きめな仕上がりですが、手に伝わるその質感から良く写りそうと瞬時に感じとることができます。標準レンズより少し広めの35mmはスナップ撮影に最適な画角。早速、散策がてら都内を撮影してきました。
大井ふ頭中央海浜公園は、スポーツ施設が充実した大きな公園です。この日も野球を楽しむ方に遭遇できました。
「球審までたてて本格的だなあ」と思わず足を止めて試合観戦。ホームベースのすぐ後の金網にレンズを押し当ててのカットが、今回最初のカットになりました。金網の影響を受けてか、若干周辺が落ち気味になりましたが、ピントを合わせたキャッチャーの背中辺りにスポットライトを当てたかのような、立体感ある描写を披露してくれます。よく見るとボールの模様まで確認できる高い解像力。タムロンが謳う最高画質が頷ける写りです。
スナップ撮影で思わず多用してしまうのが、目についた小さなものに近づいての撮影。本レンズも最短30cmでの近接撮影が可能です。
絞り開放でギリギリまで接近。花が風に揺れていたため、AFは少々迷い気味。マニュアルでピントを最短に固定し、自身の前後の動きでピントを詰めていきました。描き出された画のピント面の薄さと大きなボケ味は驚愕の一言。しっかり操作すれば、それに見合った上質な画を披露してくれます。使い込むほど楽しみが増すレンズと言えそうです。
広い景色を求めて羽田空港へ。既に疑う余地のない高い解像力は、向かいのターミナルやその奥の海の様子までしっかり捉えます。
空港内では、空港で見られる飛行機の模型が並んでいました。ショーケース越しでもこの立体感はさすがです。列をなして飛んでくるような面白い画が撮れました。
撮影に訪れたのが七夕の少し前だったこともあり、短冊飾も楽しむことができました。国際線ターミナルの短冊は世界各国の国旗をあしらったカラフルなデザイン。少し厚みのある短冊のディテールを緻密に捉える解像力と、なだらかにボケていく柔らかさを併せ持つバランスの良さも注目のポイントです。
7月に入り紫陽花も流石に元気が無くなってきましたが、日影の場所を探すと比較的綺麗な花を探す事ができます。多少暗くてもここは大口径レンズ。F1.4の本領発揮と言わんばかりに、高感度に頼らず速いシャッタースピードを維持する事ができました。
本レンズはタムロン伝統の90mm F2.8マクロと同様の設計思想で作られたとのこと。なるほど。マクロレンズ顔負けの美しくとろけるボケ味が堪能できます。
窓際に飾られたリーフ。優れた質感描写に加え、外の木漏れ日も綺麗な玉ボケになりました。上品という言葉がよく似合います。
帰りがけにハリネズミカフェに立ち寄ってみました。写真を撮りたいと店員さんに伝えると、すぐ寝てしまうという大人しいハリネズミを連れてきてくれました。 大人しいのを良いことに近寄ってみると、確かに眠たそうな表情が伝わります。大きなボケの中にも、鋭いトゲの質感がしっかり描かれています。
タムロンが思い描く究極のレンズ
最近のレンズはどれもよく写ります。SPシリーズには同じ35mmの「SP 35mm F1.8 Di VC USD」があり、こちらも高性能な1本。正直、撮影前はどれほどの違いがあるのか気になっていましたが、撮影カットを重ねるたびに、最高画質故のしっかりとした個性を感じることができました。
「究極の写りを目指したい」という一言から生まれたという本レンズ 。タムロンの十八番とも呼ばれる強力な手ブレ補正機能をも排除してしまった潔さからも、描写に対する本気度が伝わります。この研ぎ澄まされた描写力をぜひ味わってください。
Photo by MAP CAMERA Staff