『FUJIFILM フジノン XF27mm F2.8』は小型軽量で携帯性に優れたレンズです。小型というより薄型という表現の方がぴったりかもしれません。この薄さで重量がわずか78gですから、持っていて非常に楽です。27mmは35mm換算41mm相当と、50mmよりやや広くとても使いやすい長さです。携帯性だけでなく描写性能も優れており、フジノン独自の多層コーティング処理「HT-EBC」により反射を抑え、フレアやゴーストを低減させています。画面周辺部まで解像感が高く、スナップや風景、ポートレートなど幅広く楽しむことができます。そんな当レンズを『FUJIFILM X-T4』と組み合わせて撮影してきました。
早朝に家を出て誰もいない海にやってきました。洞窟の中から外の景色を撮ります。主役の灯台に備え付けられた梯子はもちろん、シルエットになった針葉樹や雲の陰影までもが精細に写っており、当レンズの描写力の高さに唸ります。
ボートが重ねられている隙間に、カメラを突っ込んで撮影。タッチパネルでピントを合わせて撮ると、画面いっぱいにボートの綺麗なグラデーションが広がりました。
行儀良く並べられたダイビング用のタンク。この島の海水は澄んでおり、季節によってはダイバーが洞窟などに潜りに来るようです。
海の近くに小さな集落があります。古い建物が保存されており、かつて塩を販売していた店の看板がそのまま残っていました。そう大きい看板ではありませんので、グッと寄って撮ります。
猫が塀に登り、辺りを覗っていました。実はこの住宅は重要文化財に指定されているので、この家に住んでいる猫というわけではないと思うのですが、ここにこうしているのがあまりにしっくりきています。猫はひらりと身を翻して家屋をすり抜け消えました。
かつて活躍した人工物が自然にかえろうとする様は、なぜこんなに人の心を惹きつけるのでしょう。冬なので蔦の葉が枯れていますが、夏場は緑に覆われてまさに自然に飲み込まれるような姿になるそうです。
差し込んだ夕陽が食料倉庫の札を照らしていました。食料といえば、撮影に夢中になって一日何も食べていなかったことに気づきます。本当はこの近くでなにか食べたかったけれど、ゆっくりしている時間はありません。
この日の最後の一枚として、夕陽を撮りました。この辺りは街灯がない場所が多く、日が落ちたあとは真っ暗です。
翌日、スキレットスモアをいただきます。砕いたチョコレートの上にマシュマロを並べて焼いたもので、キャンプなど設備が整っていないところでも簡単に作ることができます。とにかく甘いものを頬張りたかった気持ちが満たされました。
ドライフラワーがたくさん飾られたおしゃれなカフェでコーヒーをいただきます。不精なのか、お砂糖を入れたコーヒーカップをスプーンを使わずくるくると回しています。零れそうに表面が波打っていましたが、どうやら慣れているようで器用に混ぜていました。
地元に戻ると、ここ数年恒例になっているランタンが飾られていました。たくさんの人が写真を撮ろうとカメラなどを構えており、島と違って人が多いことを改めて感じます。
手軽な薄型標準単焦点
薄さが一番の特長ですが、35mm換算41mm相当という27mmの長さとの相性がよいと感じました。ボディバッグに入れてどこへでも持ち歩き、撮りたいと思った場所でサッと取り出してすぐにシャッターを切ると、見たままの景色を写真に収めることができるのです。もしレンズが出っ張っていたら、もし画角が広すぎたり狭すぎたりしたら、このように完璧なパフォーマンスは発揮できなかったでしょう。そして描写性能が高いことも特筆すべきで、スナップだけでなく風景やテーブルフォト、ポートレートに至るまでオールマイティーに活躍する一本です。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff