富士フイルムの新しいX、「XQ1」が登場した。XQ1はこれまでのコンパクトXシリーズの中でもシンプルな外観をしているため、ボディー前面のコントロールリングがデザインのアクセントとなっている。Xシリーズのなかでもコンパクトなボディーとなっており(幅100mm × 高さ58.5mm × 厚さ33.3mm)いつも身につけておきたくなるサイズ感を実現している。重さは約206g、大画面化された最近のスマートフォンは150gを超える機種も増えているので、普段持ち歩く物としてのXQ1の軽さのニュアンスが伝わるだろうか。
ボディーカラーは透明感と高級感漂うシルバーと、レトロなテイストを盛り込んだブラックの2種類。単なるカラーバリエーションだけではなく、それぞれのカラーの個性を引き立たせる作り込みがなされている。
ボディーは小さいが、前面のコントロールリングをはじめ上面の撮影モードダイヤル、背面のダイヤル式のコントローラーなどカメラ操作のためのインターフェイスは充実している。
コントロールリングには、オーソドックスに露出補正を割り当てることで、撮影者の感性で写真の仕上がりを調整可能だ。とはいえ折角デジタルカメラなのだから、コントロールリングにはホワイトバランスを設定してみるのも面白い。狙ったイメージを再現するためにホワイトバランスをあわせる、時には実験的にホワイトバランスを変えて色作りをするなど、感覚的に操作できるの点がXQ1の良いところだ。様々な機能が割り当てられるコントロールリングの使い方は自由自在だ。
コントロールリングは削り出しの金属で、独特の手触りと滑らかな回転で撮影者の意図にしっかりと応えてくれる。その他、背面に設けられた「E-Fn」ボタンが便利だと感じた。ボタン数少ないカメラの場合撮影設定の変更は、メニューボタンや専用のクイック設定ボタンを押して設定変更を行うケースが多いが、XQ1はこのE-Fnボタンを押しモニターに表示される設定項目ボタンで設定変更へ素早く移行できるのだ。
レンズは35mm判換算25-100mmで開放F値はF1.8-4.9と明るい「フジノン光学式4倍ズームレンズ」を搭載する。手ブレ補正は望遠撮影時に効果がわかる光学式だ。F1.8という明るく高画質なのはレンズだけではない。このレンズの良さを引き出すことが可能な、ローパスレス構造の「X-Trans CMOS II」センサーというパッケージングでしっかりとフォローする。
イメージセンサーは、ハイエンドコンパクトデジタルカメラに搭載されている1/1.7型より一回り大きい2/3型を搭載している。センサーサイズの大きさからくる自然な描写が特徴となっている。さらに画素数も無理のない1200万画素に押さえることで、実用性と高画質を両立している。ISO感度は最大ISO12800まで対応、さらにISOオート設定でもISO3200の高感度に自動対応するため使い勝手が良い。
光の入り口となる高画質なレンズとイメージセンサーからの出力は、シーン設定やアドバンストフィルターといった絵作りやだけではなく、フィルムメーカーでもある富士フイルムならではの「フィルムシミュレーション」でイメージを再現する。もちろんイメージセンサーのデータをそのまま記録したRAWデータによる記録も可能だ。あとからじっくりと絵作りをしたいという使い方にはRAWでの記録をオススメしたい。
XQ1は、スナップカメラとして楽しむための機能がぎっしりと詰まったコンパクトデジタルカメラだ。すぐにピタッとピントが合うイメージセンサーに搭載された位相差AFと、自然なボケが楽しめる明るいレンズで作品撮りにも使える満足度の高いパートナーとなるだろう。
Photo by MAP CAMERA Staff