高倍率ズームに定評のあるタムロンから、ソニーEマウント用超望遠ズームの登場です。『TAMRON 150-500mm F5-6.7 DiIII VC VXD』はフルサイズ対応で150mmから500mmをカバーするにもかかわらず、長さ209.6mmという驚異的なコンパクトネスを実現しました。特殊硝材XLDレンズ、LDレンズ、複合非球面レンズを組み合わせた16群25枚のレンズ構成により諸収差を抑制。周辺部まで高い解像性能を誇ります。手振れ補正機構付きで、AFはリニアモーターフォーカス機構VXDを採用し、高速で正確なため快適に撮影することができます。従来機に比べ追従性が向上し静音性にも優れるので、写真はもちろんのこと動画の撮影にも力を発揮します。今回さまざまな被写体を撮影してきましたので、どうぞご覧ください。
カルガモの親子です。子どもたちは6羽おり近くでおのおの食事をしていたのですが、この子だけは甘えん坊なのかお母さんにピタリと寄り添っていました。小さなヒナを撮るには望遠レンズが必須です。また公園で暮らしているカルガモはそれほど警戒心が強くないので、すぐそばにくることもあります。そんなときも最短撮影が60cmと短い当レンズは重宝しました。
広角端で撮っていたところ、トンボがスッと飛んできて池にある岩にとまったので、急いで望遠端に回して撮影しました。当レンズのズームリングの回転角は75°と小さいため、このような場面でも一気にズームすることができるのです。トンボがとまっていたのはほんの一瞬でしたが、おかげでシャッターチャンスを逃さずに済みました。ボケ味の美しさも際立っています。
レトロなカラーリングの電車が緑のトンネルを抜けてやってきます。車両に当たっているのではないかというくらい葉が覆い茂っており、よく見ると線路にも緑があります。まるで絵本の中のような光景に時を忘れます。
かわいいのは電車だけでなく、駅舎もまた魅力的です。こちらは駅舎に設置されたニワトリの温度計。反対側は時計になっています。駅舎の中には寄せ書きノートが置かれており、駅に降り立った電車ファンが自由にメッセージを残すことができます。なんとも優しさにあふれた空間です。
あじさいは花びらのように見える部分は実は「がく」で、本当の花はその内側に小さく咲いているのです。そんなあじさいの花を望遠マクロで大きく捉えると、たくさんの花が咲いていることがわかりました。ここまで大きく撮れるのも当レンズの特長です。
海に向かって歩きます。海岸まではまだ距離がありますが、湾の向こう側にある風力発電機が見えると気分が高まり、思わずシャッターを切りました。切り立った崖もかっこいいです。
港に泊まっている漁船を当レンズの特色を活かして撮ります。実際はこんなに密集しているわけではないのですが、超望遠レンズの圧縮効果で迫力のある一枚になりました。海面に反射した太陽の光が船に映り模様を描いています。
先ほど風力発電機の下に見えた断崖絶壁が近づいてきました。波による浸食でできたというこの崖は10kmほど続いています。すぐ近くまで行くこともできますがあまりに巨大なので、傾いてきた太陽に照らされているところを対岸から撮影します。
最後にちょっと面白い一枚を。手前から鳥、橋、飛行機の順に並んでいるのですが、超望遠レンズならでは描写により位置関係や大きさが一見よくわからないかと思います。当レンズは手振れ補正が付いているので、この写真も手持ち撮影です。何キロメートルも先にある被写体を気軽に手持ち撮影できるのも当レンズの魅力です。
常識を覆すフルサイズ超望遠
フルサイズの画質が必須ならば、500mmまでという超望遠レンズは大きくなってしまっても仕方がない。誰もがそう諦めていた中、その常識を打ち破るレンズが登場しました。特別な被写体を撮りに行くここぞという日だけでなく、日常に持ち出せるレンズとしての選択肢に十分入り得る身近な存在です。決して飛び道具のようなポジションではなく、地に足がついた作品づくりの相棒。そんな印象を持ちました。
今回の撮影には私物の『TAMRON 28-200mm F2.8-5.6 DiIII RXD』もあわせて持って行ったのですが、まさに死角なしでした。ボディのAPS-Cクロップや全画素超解像ズームなども組み合わせることで更に広がりを見せてくれます。皆さまぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff