ハッセルブラッドのXシステムの中でも、軽量で携帯性に優れた「P」ポータブル(Portable)シリーズに新しく登場した『HASSELBLAD XCD 75mm F3.4 P』をご紹介いたします。35mmフルサイズ換算59mmの焦点距離で最高1/2000秒のリーフシャッターモジュール、全シャッター速度でのフラッシュ同調撮影に対応。1枚の非球面レンズと3枚の超低分散 (ED) レンズを含む10群10枚で構成されており、XCD 「P」シリーズ史上最長の焦点距離と最大の開放絞り値を実現したレンズです。「XCD 65mm F2.8」に匹敵する性能にしてサイズは24パーセント小さく、重量として45パーセントも軽く、わずか398gと非常にコンパクトな軽量設計となりました。軽量ポートレートレンズと名付けられているようにポートレートや街角のスナップで活躍できるレンズです。今回は「X2D 100C」に装着して撮影してまいりました。ぜひご覧ください。
まずは開放絞りのカットから。午前中の朝の光を浴びた葉を撮影しました。ピンと張った細い葉脈を鮮明に写してくれました。高画素機の「X2D 100C」にも対応しており、標準域で切り取るとその解像力がさらに際立ちました。
最短撮影距離は0.55m。花を撮影しようと思ったらツマグロヒョウモンが止まってきたのでそろりそろりと近づいて撮影しました。細い触覚までしっかり写っていますし、後ボケはクセがなく綺麗で立体感あります。オートフォーカスは一通りまんべんなく一定の速さでフォーカスしてくれました。
前ボケが出来るように隙間から覗き込むような形で撮影しました。光沢のある手すりや赤い絨毯、彩度に誇張がなく、クラシックな雰囲気をありのままに写してくれています。
カーテンに当たった光が綺麗だったので、少し絞って撮影。この距離から撮ってもはっきりと見えるレースカーテンの柄。解像力の高さを改めて実感しました。目を張るポイントとしてはかなり地味ではあるのですが、こういった細部までしっかり写っているということが心強いです。
硬い質感をどれだけ描写してくれるのか、というのはどうしても気になってしまうもの。良い感じに光が射し込んでいたコンクリートブロック塀を平面にして撮影しましたが、非常に満足のいく写りでした。しかもこれで開放絞りですから驚きです。
同じ場所からF4とF8で撮り比べてみたのですが、F8ではタワーの輪郭がしっかりと写りました。よく見てみると沢山の鳥が飛んでいるのも分かります。
35mmフルサイズ換算59mmの焦点距離は寄りと引きの画を撮るのにとても扱いやすい画角でした。今回現像に純正ソフト「FOCUS」を使用しました。『XCD 75mm F3.4 P』専用のレンズプロファイルがあり、周辺減光やレンズ歪みなどを補正してくれます。レンズのパフォーマンスを最大限引き出すためにぜひ使ってみてください。
軽快に高精細
この丁度良い焦点距離を待っていたというユーザーも少なくないのではないでしょうか。「P」シリーズらしい取り回しの良いサイズと1億画素にも対応する光学性能、使いやすい標準域の画角とカバンに入れていても負担にならない軽さ。XCDシリーズの標準域レンズの中でも手に取りやすい価格帯であることも魅力です。「X2D 100C」の最初の一本として、手頃な標準域のレンズが欲しかった方へぜひ使ってみていただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff