

ハッセルブラッドより発売された HASSELBLAD Xシステムの新しいフラッグシップ『 HASSELBLAD X2D II 100C 』のフォトプレビューをご紹介いたします。LiDARのフォーカスユニット搭載による迅速で正確なフォーカス、新しいAF-Cモードや、X2D 100Cの最大8倍ともなる5軸10段手ブレ補正、色域をより広いP3に拡張させた新しいHDR(HNCS HDR)など機能面で大幅な進化を遂げました。かつボディの質量は840gと軽量化、5Dジョイスティックとカスタムボタンが追加されるなど操作性も向上しました。今回は同時発表となった『 XCD 35-100mm F2.8-4 E 』と合わせて撮影してまいりました。ぜひご覧ください。

ISO50がネイティブ感度となり、15.3ストップのダイナミックレンジが実現しました。強い日差しを浴びる白い花は、白飛びを起こしやすいのですがヒストグラムを確認すると、ハイライト側にはまだまだ余裕があって驚かされました。JPEG撮って出しのデータなので、現像ソフト「Phocus」でRAWデータを現像すれば、一体どれほどの階調が引き出せるのか。想像するだけで、ワクワクしてしまいます。

5軸10段手ブレ補正は撮影前に「Phocus Mobile 2」に接続し、位置情報とコンパス情報を使用して、地球の回転による手ブレ補正への影響を補正することで最大限の効果を発揮するとのことです。今回は接続しなかったため通常時8.5段分の補正での撮影です。原寸サイズではありませんが、クリックすると大きめのサイズでご覧いただけます。手持ちでは厳しいシャッタースピードでも、一番前の座席の番号まで読み取れるほど、ブレずに撮影することが出来ました。

先述の通り、ISO50では15.3ストップのダイナミックレンジとなるため、ISO50で撮影してみましたが、見事にステンドグラスの色彩を忠実に再現してくれました。体感的には1/4秒くらいまでのシャッタースピードなら、手持ち撮影が可能です。こちらはクリックすると原寸サイズの写真をご確認いただけます。ガラス1枚1枚の細かな違いをぜひご覧ください。



真上からの撮影。絞り込んで撮影したときの全体的なシャープさも素晴らしかったのですが、開放絞りで中央の花にピントを合わせたこのカットの雰囲気に惹かれました。そのすぐそばに咲いている少し色の濃い花は、まるで浮き出てくるような立体感です。

AF-Sモードでは294点から425点に進化したPDAゾーンとLiDARのフォーカスユニットによる迅速で正確なフォーカスが可能となり、フォーカスポイントモードには「スポット拡大」、「カスタム」、「ワイド」モードが新しく追加されました。暑い中働き続けるクマバチを「スポット拡大」モードで撮影したのですが、非常に高い精度で捉えてくれました。AF-C連続オートフォーカスは「人間、車両、猫、犬」を検出・追跡できるように進化しています。

テレ端・開放絞りで撮影した1枚。手前の植物が作り出す柔らかな前ボケと、ピント面のシャープさとの対比が美しいです。カーテンのタッセルの糸1本1本を繊細に描き分ける、驚異的な解像力。ただシャープなだけでなく、ボケ味は柔らかく上品で単焦点に引けを取らない写りです。

キッチンカーの、鮮やかなオレンジ色が印象的な外壁。凹凸が生み出す陰影のなだらかな階調表現を見たくて、切り取りました。ベタッと一色になりがちな被写体ですが、鮮やかなオレンジ色の濃淡まで忠実に再現してくれました。


夕暮れの光に染まる遊園地。一見すると、メリーゴーラウンドや柵の細かな線は密集して潰れているように感じますが、画像を拡大すると、その1本1本が驚くほど繊細に描き分けられています。情報量が非常に「高密度」である証拠であり、1億画素センサーの底力を改めて実感させられました。

最後に、このカメラの手ブレ補正の限界を試してみたく、手持ちでの夜景撮影に挑みました。シャッタースピードは0.7秒。手ブレすることなく水面に浮かぶ屋形船の文字さえも読み取れるほどの解像力を見せてくれました。
あらゆる瞬間に輝きを
『 HASSELBLAD X2D II 100C 』は強力な手ブレ補正や進化したオートフォーカス性能など中判デジタルのこれからの未来を感じさせる1台でした。今後の「HNCS HDR」や「5軸10段手ブレ補正」など性能をフルに使える撮影が楽しみです。オートフォーカス性能や手ブレ補正のさらなる進化に始まり、ユーザーの利便性を向上させる多くのブラッシュアップが施された『HASSELBLAD X2D II 100C』。ぜひこの進化を体験してみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff