『Canon EOS 7D Mark II』の発売から実に約7年半の歳月が経っていたという事実に改めて驚きました。一つのカメラに7種類のカタログを用意するというキヤノンの情熱というか本気度というものを当時ひしひしと感じていた筆者。キヤノンの『7』ナンバーは初代、2代目問わず「いつでも誰かに求められていたカメラ」だったという印象があります。
『5』『6』ナンバーの登場からさらに約2年、ついに『7』も後継機がミラーレスカメラとして登場しました。待ち焦がれた方も多いでしょう。曇天の一日ではありましたが早速撮影に行ってまいりました。ぜひご覧ください。
約2,020万画素の『Canon EOS 7D Mark II』からさらに画素数をアップさせた新開発のセンサーで約3,250万画素に。ハイキーにならないように控えめ露出設定で撮影しましたが、フラミンゴの繊細な色合いとグラデーションを忠実に再現。JPEG撮って出しの1枚ですが、素晴らしい画を魅せてくれました。
全く撮る予定にはなかった白クジャクでしたが、羽根を広げて待ち構えてくれた上に目線までくれたので撮影させてもらいました。冒頭の写真も白クジャクの羽根だけを撮影したカットです。
冒頭から使用しているレンズは『RF100-400mm F5.6-8 IS USM』。APS-Cセンサーの『EOS R7』と組み合わせれば最大で640mm相当の焦点距離を撮影できる組み合わせ。その組み合わせでなんと約1.3kgです。これは実際に組み合わせて持ち歩いてみて感じることですが、本当に軽い。当初の予定では『RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM』を持っていくつもりでしたが、この組み合わせもとてもおススメ出来ます。
今回は全てメカシャッター、AF設定はあえて初期設定(サーボAFの被写体追従特性「1」)のままで撮影。網目がこまかい柵で手前に引っ張られてしまいがちですが、一度食いつくとしっかりと目を捉えて続けてくれました。連写性能はメカシャッター/電子先幕時でも最高約15コマの連写が可能(電子シャッターでは最高約30コマ)となり、『Canon EOS 7D Mark II』の10コマ連写より、確実な進化を遂げています。「RAWバーストモード」約0.5秒前からの「プリ撮影」など次代の『7』に求められた性能をしっかりと網羅してきたという感じがします。
ここからは同時発売の『RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM』で撮影。花壇の花の蜜を吸いにきたクマバチをファインダーで覗きつつ、新しくなったサブ電子ダイヤルで被写体にフォーカス。クマバチが移動する瞬間から連写しつつ画面構成にも気を配るということを同時に行えました。『EOS R7』のサブ電子ダイヤルは、使用頻度の高いマルチコントローラーを融合させ同一位置に配置し最小限の動きで様々な操作を行えるようになっていて個人的にはとても使いやすくなったと思います。
重量は約310g。『EOS R7』との組み合わせで約1kgです。これもまた35mm判換算で29~240mm相当をカバーする高倍率ズームの組み合わせとしてはとても軽量だと思います。
機材を持ち歩く疲れがないことで張り切って撮影してしまい、撮影者自身がややグロッキーに。少し早めの休憩を取りつつ、テーブルフォト感覚でコップの水滴を撮ります。絞りは開放でしたがピント面の解像感、背景のボケ具合など、とても満足できる写りでした。
今回は使用しませんでしたが、MF時には最短撮影距離0.12m(18mm~24mm時)まで寄ることができる「Center Focus Macro」機能も搭載。まさに何でもできる一本です。
しかもこのレンズ、『EOS R7』との装着時に約7.0段の手振れ補正効果を発揮します。標準域ではありますが、ISO感度100で撮影したいがために1/8秒で撮影。きっちりと撮影することが出来ました。
すぐに止みましたが、小雨が降りだした昼時。片手で傘を差しながら、今度は高感度で撮ってみようとジャバジャバと吹き出す噴水の水しぶきを撮影。想像以上のノイズレスな画に驚きました。べたっとしたノイズ処理ではないところも好感を持ちました。撮影時の高感度処理は「標準」の設定のままです。
曇天の窓から室内に差し込む光。金属や光沢感のあるタイル。年季のこもった木製の椅子の異なる質感や光の強弱具合をそれぞれにしっかりと描き分けてくれました。「単焦点に匹敵する」というのは大袈裟かもしれませんが、RF-Sレンズの描写力は十分に信頼の置けるものだと思います。
新時代を切り拓く『7』
今回はスナップメインでお送りいたしましたが、APS-C EOS史上最高の解像性能を謳う『EOS R7』と『RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM』。その解像力や表現力。正直に言えば筆者の期待値をはるかに超えた結果を見せてくれました。動体撮影が得意ではない筆者がスムーズに撮れたことからも動体を撮るための『EOS R7』という選択に間違いはないでしょう。これからスポーツ、野鳥、レーシングなどの動体撮影で活躍の場を大いに拡げてくれるはずです。
コンパクト化を実現しつつも深めに設計されたグリップ、より使いやすくなった背面のボタン配置。超望遠でも機動力を損なわない軽さ。既存の『EOS 7D Mark II』ユーザーはもちろん、初めて『7』系統に触れるという方にもぜひおすすめしたいカメラです。
待望の『7』後継機が切り拓く新しいミラーレスAPS-Cの未来、ぜひご自身で体験してみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff