磨き抜かれた上質なデザインとコンパクトさが際立つ中判デジタルカメラ「Xシステム」。今回はこのXシステムにハッセルブラッドのレンズの中で最も広い画角を実現した『HASSELBLAD XCD 20-35mm F3.2-4.5 E』が登場しました。待ちに待っていたというユーザーも多いことでしょう。都会のクールな景観はもちろんのこと、大自然や屋内空間の撮影などさまざまなテーマをもった撮影を超広角域で表現することができます。最大1/2,000秒の高速レンズシャッターを搭載、ステッピングモーターによりフォーカスレンズ群の動きを正確に素早く、静かに制御しているので驚くほど滑らかで正確なピント合わせを実現しています。ネイティブISO64に対応した1億画素 中判 裏面照射型(BSI)CMOSセンサーを搭載した「X2D 100C」との組み合わせでさっそく撮影してまいりましたのでぜひフォトプレビューをご覧ください。
フォーカスリングとズームリングの両方に「H」ロゴが刻印された本レンズ。「X2D 100C」とのサイズバランスも絶妙でホールディングも良好、三脚なども用意することなく軽装備で中判デジタルと超広角レンズの世界を愉しむことができました。あえて露出をアンダー目に設定、建築物のディティールとそこに差し込む日差しをアーティスティックに捉えました。
最短撮影距離は0.32m。テレ端開放絞りで百日紅を撮影してみました。ピント面の解像力も良く、ボケ味もとても綺麗です。だんだんと日が短くなってきて、眩しい光が射している状況でしたがフレア・ゴーストの耐性も強く悩むことなく撮影することが出来ました。
広角端で真上を見上げての撮影。葉っぱ一枚一枚、細い枝の一本一本まで描く丁寧で緻密な描写です。これからくる紅葉の季節にまた撮りたくなる風景でした。
奥には高層ビル、手前には美しいアールを描いた建築物が印象的な1枚。レンズの素性が分かりやすいシーンですが、手前の立体感や背面のビルの歪みの少なさなど思わずため息が出るほどの繊細な描写をしてくれました。ダイナミックレンジの広さも中判デジタルカメラならではでしょう。
気持ちよさそうに枝を伸ばすシルバープリベットの葉を広角で被写体に近づきダイナミックに撮影。丁度中央部分に位置する新芽にピントを合わせましたが、前ボケと後ボケもとても自然で目で見たままの光景を1枚に収めることができました。
カメラを片手に歩いていると、とある古民家の客門扉と乳鋲が目が留まりました。ぜひ拡大してご覧いただきたいのですが、木の模様ひとつひとつが驚くほど繊細に写し出されています。長年雨や風に打たれてきたその扉は詫び寂びを感じることができる1枚に仕上がりました。
約16mmの超広角は室内の情報をたっぷりと取り込みつつも歪曲も少なく違和感ありません。開放絞りでもコントラスト・発色が良く、撮って出しでも十分に高いクオリティの画です。
海外のたくさんの写真集が並ぶその光景、オレンジ色とXの文字が目にとまりました。恐らく「ハッセルブラッドのXシステム」を使っていたからでしょう。手前にはネイビー、奥にはホワイトの本を配置して斜めに捉えることで印象的な1枚となりました。
小型ながらパワフルなレンズシャッターを搭載しており、最大1/2,000秒のシャッター速度で撮影することが可能です。オートフォーカスの精度も非常に高く、レスポンスよく撮影できることから思わず中判デジタルカメラで撮影していることを思わず忘れてしまうほどです。
商業施設やオフィスビルが立ち並ぶストリートを歩いていると、1台の高級車が横切りろうとしているのが筆者の視界に飛び込んできました。フルサイズカメラを普段使用しているときは通過する前から連写で撮影をするのですが、そこは中判デジタルカメラ。ここでシャッターを切りたいと考えている場所に事前にピント合わせと露出を調整しておきます。高級車が通過するそのタイミングでシャッターを押し込みます。敢えてモノクロームで仕上げることで、艶消しボディカラーの魅力も引き立てることができました。
カメラの重量が「895g(バッテリーを含んだカメラボディ)」、レンズの重量が「805g」とボディとレンズを組み合わせても「1,700g」で持ち歩ける中判デジタルカメラは1日持ち歩いても疲れを感じさせません。夕暮れのベイサイドで撮影したマジックアワーの1枚。そのゆったりと流れる時間を写真と共にごらんください。
広がる可能性
ハッセルブラッドでかつて最も広角だったのが既に新品での販売が終了している「XCD21mm F4」であるが、現行モデルでは「XCD 25mm F2.5 V」が最も広角となる。そんな可能性を広げてくれたのが今回使用したハッセルブラッド史上最広角となる『XCD 20-35mm F3.2-4.5 E』で、使えば使うほどその世界観に引き込まれていく感覚に心を奪われました。
1億画素 CMOSセンサーを搭載した「X2D 100C」との相性は抜群で、画質やフォーカシング、手振れ補正やレスポンスなどすべての面において撮影者の直感で思い通りに撮影できるこの感覚。高揚感高まる超広角レンズ×中判デジタルカメラの組み合わせをぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
Photo by MAP CAMERA Staff