

個人的には、今年の出来事の中でも特に印象深い驚きのひとつです。あの名レンズ「クセノン」や「スーパーアンギュロン」で知られる、ドイツの名門メーカーSchneider-Kreuznach(シュナイダー・クロイツナッハ)と、韓国のLK SAMYANG社とのコラボレーションにより誕生した広角ズームレンズ『SAMYANG Schneider AF 14-24mm F2.8 FE』をご紹介します。超広角ながら、重量はわずか445g。さらに、フロントフィルターの装着が可能な世界初の14-24mm F2.8オートフォーカス対応ズームレンズという点も特筆すべきポイントです。14mmという超広角域から始まる焦点距離に加え、全域で0.18mという優れた接写性能が非常に魅力的なズームレンズ。補正はすべてカメラボディ側でオートに設定しました。全て撮って出しとなっております。ぜひご覧ください。

14mmという超広角ならではの広がりと開放感が気持ちよく表現された一枚。開放では周辺減光がわずかに見られますが、この画角としては非常にうまく抑えられている印象です。シルエットに立体感を持たせるのは難しい条件ですが、本作ではしっかりと奥行きと存在感が感じられる描写になっていました。

テレ端24mmでのカット。先ほどは半逆光でしたが、こちらは順光です。遠景は霞んでいるものの、細部まで解像しており描写力の高さが感じられます。F8で撮影しましたが、F4の時点で周辺減光は改善され始めていました。


テレ端・開放で撮影。広角レンズでありながら十分なボケ量があり、被写体の立体感もしっかりと描写されています。

24mmの斜めアングルではショーケースが限界ですが、14mmに切り替えることで廊下までしっかりとフレームに収まります。不要な要素が入る場合も、ズームで簡単に切り取れるのはズームレンズならではの利点です。広角ではわずか1mmの違いが構図に大きな影響を与えるため、14〜24mmという10mmのレンジがもたらす表現の幅は無数にあります。

向かいの通りを撮影したにも関わらず、手前の枝まで画角に収まる驚き。通常は一枚の画に収まらない距離感の要素が共存するのは、超広角ならではの魅力です。身近な景色も、新鮮な目線で切り取れます。

最短撮影距離が「全焦点域で0.18m」という点にも驚かされますが、さらに驚くべきは、その近接撮影時においても解像力が非常に高いことです。ふんわりとした柔らかな雰囲気の中にも、ピント面はしっかりと解像しており、マクロ的な撮影も楽しめる超広角レンズとなっています。

14mmでの近接撮影でも非常に優れた描写を見せてくれます。もちろん、さらに被写体に寄ることも可能ですが、少し距離を取った構図にすると、描写性能の高さがより際立って感じられます。



ハイアングルから捉えた構図と、ローキーなトーンで仕上げました。光の差し込む部分にだけディテールが浮かび上がるような表現や、床に落ちる影の濃淡がとても好みです。

Schneider-Kreuznach × LK SAMYANG
まさかのコラボに驚いたのはきっと私だけではないはず。軽量・コンパクトで、フロントフィルター対応・「全焦点域で最短撮影距離0.18m」の接写性能というだけでも十分魅力的ですが、そういったスペックの高さはもちろんのこと、実際に撮ってみて何より驚かされるのは、その描写性能の高さです。14mmという超広角の世界を楽しみたいという方には、ぜひこおすすめしたいレンズです。