「Xシリーズ」フラッグシップ『FUJIFILM X-H2S』の登場から約2ヵ月、遂にもう一つのフラッグシップ『FUJIFILM X-H2』が発売されました。第5世代はスピードと高解像、両方向へ2つの進化をするという言葉通り『X-H2』は従来センサーの約1.5倍の4020万画素の静止画に加え、8Kの映像撮影を実現する高解像センサーを搭載しました。またピクセルシフトで魅せる1億6000万画素のピクセルシフトショットをXシリーズとして初搭載。驚くことに静体や高周波被写体のAF性能については『X-H2S』より『X-H2』が優れているということです。
スピードに特化した『X-H2S』は積層型構造の「X-Trans CMOS 5 HS」を搭載し、高解像に特化した『X-H2』は4020万画素の高画素化に加え、画像処理のアルゴリズムを改善、S/Nレベルを落とすことなく解像度の向上を実現した「X-Trans CMOS 5 HR」を搭載。その結果、拡張感度だった「ISO 125」を常用感度として使えるようになりました。「Xシリーズ」にスピードを求めるユーザーがいるように、さらなる解像力を求めるユーザーにとって目が離せない『X-H2』。まずは秋の始まりを撮影してまいりました。ぜひご覧ください。
カメラボディの電子シャッターで「1/180000秒」の設定が可能になったと聞いて「凄い」と驚いたのですが、どう使おうかと悩みました。「明るい単焦点レンズでも日中で開放絞りで撮影が可能に」という、とても面白そうなメリットを活かす事も出来ますが、今回は波しぶきを撮ったらどうなるだろうかという答えに。そこで撮影したのが「1/128000秒」で撮影した波しぶきです。日中ということもありますが、ISO:2000という高感度でも拡大して見ない限りノイズは感じません。先述した明るい単焦点レンズを開放絞りで日中撮影するという夢は、ぜひ「X-H2」を手に入れたユーザーの方々に叶えていただければと思います。
何メートルあるか分からないほど高い木々を逆光で撮影。ほぼ真っ黒のシルエット状態から、かなり大胆にシャドウ部を引き上げてみたのですが想像を遥かに超える仕上がりになりました。ISO:125を常用感度として使えるようになった『X-H2』。RAW現像をしても以前のモデルに比べてトーンの粘りがかなり良くなったのではないでしょうか。お見事です。
舞台を一度変えて、曼殊沙華が赤い絨毯のように咲き乱れるスポットへ。Xシリーズに新たに加わった「ノスタルジックネガ」を含め多彩で個性豊かなフィルムシミュレーションが揃っており、どれも目移りしてしまうものばかり。定番の目が醒めるような鮮やかな発色の「Velvia」もやはり素晴らしい色味です。
今回『X-H2』の4020万画素をフルに楽しむための推奨レンズがメーカーから公表されました。多くの単焦点や『フジノン XF16-55mm F2.8 R LM WR』や今回使用した『フジノン XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR』などが対象となっています。まだ花開く前の曼殊沙華、立体感や解像感など『フジノン XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR』の写りの良さをさらに実証する形になりました。
このカットは本日同時発売された『フジノン XF18-120mm F4 LM PZ WR』で撮影しています。汎用性が高い6.7倍のパワーズーム搭載レンズで、さらに『X-H2』の推奨レンズの一本に含まれます。室内での撮影でも開放絞りでピント面から周辺までよく写っています。今回『フジノン XF18-120mm F4 LM PZ WR』は8Kの動画撮影で多用しました。パワーズームの動きやレンズ描写については改めて動画紹介の記事でご覧いただければと思います。
もちろん対応レンズではないからといって『X-H2』を楽しめないというわけではありません。同時発売されるキットレンズである『フジノン XF16-80mm F4 R OIS WR』で撮影しましたが、この通り見事な解像力。まずは『X-H2』と『フジノン XF16-80mm F4 R OIS WR』で撮影してみて、次の楽しみとして推奨レンズというステップでもいいと思います。またこのカットは光量の少ないシチュエーションで高感度撮影になったのですが、拡大してもノイズは非常に少なめ。APS-C機、しかも高画素センサーながら非常に優秀な高感度耐性だと感じます。
プレートに刻んだ小さな文字まで拡大表示で見ることができるほどの解像力。約4020万画素の高画素と「X-Trans CMOS 5 HR」による解像力はAPS-C機の常識を覆すものになるかもしれません。約1億6000万画素にもなるピクセルシフトショットの解像感もいずれ体験してみたいです。
輝く夕日や空のグラデーション、持ち上げてもなお余裕を感じるシャドウ部、小さく写るサーファーや飛行機、車や信号機。撮りたいと思った感動とその時には気づかなかった世界も『X-H2』は目の前の世界をまるごと記録してくれました。ただただ、その美しい世界に惚れ惚れするばかりです。
新世代が拓く新時代
スピードの『X-H2S』、高解像の『X-H2』。別々の道に進化した2つのモデルはユーザーに求められる「ニーズ」を叶えるための最良で最善の進化を遂げたと言っていいでしょう。常に完成度と満足度が非常に高い機種を出し続けているフジフイルム。新機種が出ても今持っているカメラを愛用し続けているユーザーがたくさんいることも、周りにいるXユーザーから分かります。今の愛機から次のカメラにステップアップするタイミングがあるとすれば、まさに今この時が最良のタイミングではないでしょうか。きっとこの第5世代が新しい世界を見せてくれるでしょう。これからの新世代が拓く新時代、一緒に歩んでみませんか。