一眼レフのライカRシステムが終焉してからどのくらいの時を経ただろうか。 基本的にはMF一眼レフシステムであることで、本格的なデジタルへの移行が難しいという理由もあったのだろうが、ライカはSシステムとして、中判の分野に一眼レフカメラのシステムを置いた。これは正解だと思う。たしかにたいへん高価ではあるものの、業務用として特化したこと、35ミリフルサイズをMシステム専用のものとして分けたことで、それぞれのシステムの役割がより明確化したように感じている。ただし、これまでのRシステムが宙に浮いた感があるのは事実だった。
ライカが素晴しいのはライカM[Typ240]で、ライブビューやEVFを使えば、マウントアダプターを使用することでライカRシステムのレンズが使用を可能としたことだ。ライカM[Typ240]登場時は、トラディッショナルなMシステムのカメラにライブビューを内蔵したモデルが必要なのか、という批判めいた声も少なからずあったらしいが、ほぼ全てのライカRレンズがライカMで使えることは、過去の資産をそのまま35ミリフルサイズで生かすことができるのと同じことだ。この意義は意外に大きいものがある。
ライカRレンズの写りはいずれもオリジナリティーのある描写であり、それが大きな魅力でもある。フルサイズセンサーを搭載したミラーレス機が登場してきたことで、各種マウントアダプターを使うことで撮影が可能になり、ライカM[Typ240]を使わずとも、レンズ本来の性能は引き出しやすくなってきている。これはライカR用の交換レンズも例外ではない。しかし、ライカ+ライカレンズという正統的な撮影行為はライカも認める信頼度が高いものだし、撮影時の楽しみも異なるはず。
現行の純正アダプターとして、ライカR-Mアダプターが用意されているが、これはレンズ情報を打ち込むことができる、三脚座が付属するなど便利ではあるのだが、今回は間に合わなかったのでかつてのスーパーアンギュロンR21mmF3.4用の時に用意されたライカR-Mの純正マウントアダプターを使用してみた。
フォーカシングはカメラ前のボタンを押せば表示画像が拡大されるために正確に行うこともできる。 また、ピーキングの利用も可能なので使いやすい。基本的にはEVFを装着することで、“一眼レフ”的な 使い方も可能になり、ライカM[Typ240]はハイブリッドビューファインダーを備えたカメラに変貌するわけだ。
|
|
|
本体、フードともにたいへん巨大なレンズである。大型のライカRシリーズカメラに装着しても、前面からカメラの姿が見えづらいくらいなのである。ライカM[Typ240]ではなおさらである。性能面では、画面中心に描写の重点を置いたのであろうか、とくに周辺部を潔く“捨てた”印象がある。絞りf5.6くらいまでは四隅の描写も流れ気味でまったく関心しないが、このようなレンズは現代のものにはないわけで、個性と考えたい。またタル型の歪曲はやや目立つがカメラを水平垂直に構えた時は素直にパースペクティブが抑制される。緻密な描写を必要とする風景写真にはまったくおすすめできないレンズだが、スナップ写真には力を感じる描写になる。
|
|
ライカM[Typ240] スーパーアンギュロンR21mmF4 絞りf8 AE ISO400 AWB |
|
|
ライカM[Typ240] エルマリートR24mmF2.8 絞りf8 1/2 AE ISO400 AWB |
|
|
ライカM[Typ240] ズミクロンR35mmF2 絞りf8 1/2 AE ISO400 AWB <モデル:平山りえ> |
|
|
ライカM[Typ240] ズミルックスR50mmF1.4 絞りf2 AE ISO400 AWB |
赤城耕一氏による”LEICA M”レポート第1弾はこちら>>
赤城耕一氏による”LEICA M”レポート第2弾はこちら>>