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写真家 赤城耕一氏が語る『LEICA M』Vol.3

2014年03月03日

 一眼レフのライカRシステムが終焉してからどのくらいの時を経ただろうか。  基本的にはMF一眼レフシステムであることで、本格的なデジタルへの移行が難しいという理由もあったのだろうが、ライカはSシステムとして、中判の分野に一眼レフカメラのシステムを置いた。これは正解だと思う。たしかにたいへん高価ではあるものの、業務用として特化したこと、35ミリフルサイズをMシステム専用のものとして分けたことで、それぞれのシステムの役割がより明確化したように感じている。ただし、これまでのRシステムが宙に浮いた感があるのは事実だった。

 ライカが素晴しいのはライカM[Typ240]で、ライブビューやEVFを使えば、マウントアダプターを使用することでライカRシステムのレンズが使用を可能としたことだ。ライカM[Typ240]登場時は、トラディッショナルなMシステムのカメラにライブビューを内蔵したモデルが必要なのか、という批判めいた声も少なからずあったらしいが、ほぼ全てのライカRレンズがライカMで使えることは、過去の資産をそのまま35ミリフルサイズで生かすことができるのと同じことだ。この意義は意外に大きいものがある。

 ライカRレンズの写りはいずれもオリジナリティーのある描写であり、それが大きな魅力でもある。フルサイズセンサーを搭載したミラーレス機が登場してきたことで、各種マウントアダプターを使うことで撮影が可能になり、ライカM[Typ240]を使わずとも、レンズ本来の性能は引き出しやすくなってきている。これはライカR用の交換レンズも例外ではない。しかし、ライカ+ライカレンズという正統的な撮影行為はライカも認める信頼度が高いものだし、撮影時の楽しみも異なるはず。

 現行の純正アダプターとして、ライカR-Mアダプターが用意されているが、これはレンズ情報を打ち込むことができる、三脚座が付属するなど便利ではあるのだが、今回は間に合わなかったのでかつてのスーパーアンギュロンR21mmF3.4用の時に用意されたライカR-Mの純正マウントアダプターを使用してみた。

 フォーカシングはカメラ前のボタンを押せば表示画像が拡大されるために正確に行うこともできる。 また、ピーキングの利用も可能なので使いやすい。基本的にはEVFを装着することで、“一眼レフ”的な 使い方も可能になり、ライカM[Typ240]はハイブリッドビューファインダーを備えたカメラに変貌するわけだ。


Elmarit21mm/f2.8

LEICA M

ライカM[Typ240] エルマリートR19mmF2.8 絞りf5.6 AE ISO400 AWB
LEICA M
スーパーアンギュロン21ミリF3.4がディスコンになった後に登場してきたレンズであり、構成はレトロフォーカスタイプ。

本体、フードともにたいへん巨大なレンズである。大型のライカRシリーズカメラに装着しても、前面からカメラの姿が見えづらいくらいなのである。ライカM[Typ240]ではなおさらである。性能面では、画面中心に描写の重点を置いたのであろうか、とくに周辺部を潔く“捨てた”印象がある。絞りf5.6くらいまでは四隅の描写も流れ気味でまったく関心しないが、このようなレンズは現代のものにはないわけで、個性と考えたい。またタル型の歪曲はやや目立つがカメラを水平垂直に構えた時は素直にパースペクティブが抑制される。緻密な描写を必要とする風景写真にはまったくおすすめできないレンズだが、スナップ写真には力を感じる描写になる。

Summicron 35mm/f2.0

LEICA M

ライカM[Typ240] スーパーアンギュロンR21mmF4 絞りf8 AE ISO400 AWB

LEICA M
シュナイダー社製の超広角レンズだ。ライカLやMマウントに同名レンズがあるが、これらはライカM[Typ240]に使用すると、色カブリが発生することが知られている。本レンズは一眼レフ用だから、もちろんレトロフォーカス系の構成になっているので、根本的な設計思想が異なるし、ライカM[Typ240]に使用しても問題はない。これまでは主にモノクロフィルムで使うことが多く、コントラストの高めのソリッドな描写力に個性を感じていたが、デジタルにもその雰囲気が再現されているのは不思議なことだ。画面四隅の光量がわずかに落ちる傾向があるけど、これは個性と考えたいところで、気になる場合は補正してしまえばいい。このレンズに向いた被写体を探したくなるような気がしてくるのである。

Noctilux 50mm/f1.2

LEICA M

ライカM[Typ240] エルマリートR24mmF2.8 絞りf8 1/2 AE ISO400 AWB

LEICA M
ライツとミノルタの業務提携によって登場したレンズといわれている。基本構成はMCロッコール24mmF2.8と同じものだろう。それでも、Made in GERMANYが刻まれているということは、レンズのユニットのみをミノルタが供給したのであろうか。レンズは大型で重量級だがしっかりした作り込みでとてもいい。フードも角形でしっかりしたものだ。フォーカスリングの回転角トルクもライカR特有のものである。モノクロフィルムでは、階調の広い湿度の高い表現をするように感じていたが、ライカM [Typ240]ではニュートラルなクセの少ない印象。像面の平坦性もよく悪くない特性である。

Summarit 50mm/f1.5

LEICA M

ライカM[Typ240] ズミクロンR35mmF2 絞りf8 1/2 AE ISO400 AWB   <モデル:平山りえ>

LEICA M
初期のタイプはたいへん巨大で驚かされたが、このレンズは二代目の設計。ルックスがよく小型化はされたものの、やはりずしりとくる。見かけよりも線が細い印象だ。開放からのコントラストも高く実用性能は十分だ。同時代のMマウントの同スペックレンズよりも、少し階調再現は硬めの印象であるが、高性能のレンズであることは間違いない。ただ、近接撮影時、開放値近辺の像の後ボケには少しクセが出てくるようだ。たいへんクリアな描写をするので、緻密な描写を求めたい風景写真にも適しているし、微量光下のスナップにも向いていると思う。

Tele-Elmarit 90mm/f2.8

LEICA M

ライカM[Typ240] ズミルックスR50mmF1.4 絞りf2 AE ISO400 AWB

LEICA M
使用したのはフードを取り付ける初期タイプのもの。フォーカスリングの回転角が少々大きいのだが、これは正確なピント合わせを行うためのマージンをとっているのであろうか。このため、フォーカシングには若干時間がかかる。正統派の標準レンズだが、往時では高価に販売されたこともあり、ズミクロンR50mmF2と比べると、カメラに付属する標準レンズというよりも大口径交換レンズの一本という印象がある。開放からコントラストはそれなりにあるが、若干のハロを感じる。描写の落ち着きを感じるのはf2あたりの絞りだろうか。ライブビューでも絞りによる描写の微妙な変化がわかるのが面白い。

赤城耕一氏による”LEICA M”レポート第1弾はこちら>>

赤城耕一氏による”LEICA M”レポート第2弾はこちら>>

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