
LIGHT LENS LAB 50mm F2 “周エルカン”
2022年06月21日

ズミクロン8枚玉を完全再現した『周八枚』が記憶に新しい中国のレンズブランド LIGHT LENS LAB(ライトレンズラボ)。その第二弾として登場したのが今回ご紹介する50mm F2なのですが、ズミクロンではなくエルカンの完全再現を目指して作られたというのですから驚かずにはいられません。
エルカン(ELCAN)とは、1970年代にアメリカ軍に納入された軍用モデル『KE-7A』へ供給されたレンズの名称です。名前の『ELCAN』はライツカナダ社(ERNST LEITZ CANADA)の略称から付けられており、その生産数はわずか550本ほど。一見するとズミクロンベースと思われがちですが、このエルカンは光学系が専用設計された別物であり、4群4枚のエルノスター型が採用されている珍しいレンズになります。
元々市場に出る目的で作られていない希少レンズだったことに加え、近年の世界的なオールドライカ製品の高騰もあり今や手の届かないレンズになってしまったエルカンですが、その姿がLIGHT LENS LABによって甦りました。『周八枚』と同様に外観だけでなくレンズ硝材、コーティングなど細部にまでこだわって作られた1本。ぜひその描写をお楽しみいただけたらと思います。

エルノスター型の50mm、しかもF2という明るさのレンズがとても珍しい本レンズ。絶対的な性能はダブルガウス型のズミクロンに軍配が上がると思いますが、この周エルカンもここまで写るのかというのに驚きました。
光に照らされる新緑を逆光気味で撮った一枚。硝材が新しいとは言え中央の解像力はかなりのもの。周辺になるにつれて収差が抑えきれなくなり、ジワリと流れるような滲み方が特徴的です

歴史ある神社の境内に生える樹齢1000年の御神木。しめ縄にピントを合わせ撮影したのですが独特の立体感が感じられる描写です。

ストンと落ちる四隅の光量。これもオリジナルの完全再現を目指して作られた本レンズの味と言えるでしょう。

階調が豊かに出るレンズなのでモノクロとの相性も良いです。貼り合わせ面のない4群4枚のレンズですが、ここまで整った描写が生まれるのかと驚いてしまいます。

意図的にフレアを出したいと思い、逆光で紫陽花を撮影したカット。虹のような美しい円形のフレアは出るものの、この一枚を撮るために角度を変えながら何枚もシャッターを切りました。想像以上に逆光耐性は強い印象です。
幻のレンズを、現代に。
世にも珍しいエルノスター型50mm F2というスペック。軍用カメラという特殊な目的で作られたエルカンを現代に甦らせた本レンズですが、他のレンズにはない独特の世界観を持つ描写だと感じました。
絞り開放でもピント面の解像感は高いものの、周辺は像が流れる甘い描写。しかし、一段、二段と絞り込むことで驚くほどスッキリとした写りへと変化します。オリジナルと比べることが難しいレンズではありますが、以前Kasyapa for Leicaで撮影したエルカンの描写と見比べても描写特性は非常に似ている印象です。完全再現を目指したというのは偽りのない言葉だと思います。
この『LIGHT LENS LAB 50mm F2 “周エルカン”』はライカレンズを愛する製作者のロマンを感じる一本でした。焦点工房より限定で発売されたレンズではありますが、手に取る機会があれば幻のエルカンの描写を是非お試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff