Panasonic LUMIX GH5 インタビュー【Part 4】
そういえばGH4はボディ内手振れ補正じゃなかったんですね…。 ボディ単体でもシャッタスピード換算5段分の補正効果ということで、あらゆるレンズを用いるであろう映像制作での恩恵が余計に高まりそうですね。 |
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やはりそういった需要にも十二分に応えられるような補正効果を検討しました。 ただ、ボディ単体でのSS5段分の補正よりも、対応レンズを組み合わせた「Dual I.S.2」の5段分補正のほうが望遠画角ではブレ補正効果が高くなりますので、撮影時には意識してレンズを選んで頂ければと思います。 |
圧倒的な解像性能と高倍率を誇り、光学ファインダーに迫る視認性を実現しました。アイポイント21mmと余裕があるため、メガネを着用されている方にも覗きやすいファインダーを実現できたと考えております。
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他社さんでの中判ミラーレス機でも同等の画素数の電子ビューファインダーがありますが、現存の製品では最高クラスの電子ビューファインダーですね。倍率が異なる分アイポイントに余裕があり、隅々まで見渡しやすいのが想像できます。 電子ビューファインダーのメリットのひとつとして、センサーサイズに関わらず倍率を高くできるところが挙げられます。デジタル「一眼レフカメラ」には真似できない部分なので、ここは今後もミラーレス一眼において力を入れて頂きたい部分です。 |
また、今回から背面液晶ではなくファインダー中心で撮影をされる方向けに、「ファインダー撮影時の省電力モード」を搭載しております。 従来はアイセンサーによってファインダーから目を離すと背面液晶表示に切り替えがされておりましたが、あくまで電子ビューファインダーのみを使用する設定であり、ファインダーから目を離した際には任意で3/5/10秒でスリープモードに入るようになります。 この設定をONにすることでバッテリー1本での撮影可能枚数を400枚から1000枚まで増やすことができます。 |
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1000枚以上となると、ようやくデジタル「一眼レフカメラ」並みですね。素晴らしいと思います。それだけ液晶の表示の消費電力はやはり激しいということになりますね。 ちなみに他社さんのミラーレス一眼の「省電力モード」では、AFの読み出しスピードを落としたり、起動などのレスポンスにも影響があるものもございますが、その辺りはいかがでしょうか? |
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ご安心ください!あくまで液晶表示の制御のみでコントロールをしておりますので、撮影性能に関してのパフォーマンスは一切落としません。
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ここ、聞いて欲しかったとことですね…?素晴らしいです。
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動画性能については話すととても長くなるのですが….。今回は新たに実現できたことがほとんど“業界初”というわかりやすいものになっております。 まずは一つめ。 |
ミラーレス一眼カメラとしては史上初となる、4K/60P収録に対応をしました。もちろんカメラ内のメモリーカードに収録が可能です。
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高性能な手振れ補正を活かして手持で4K/60P収録した素材を、24Pで書き出して2.5倍スローにしたサンプルムービーを拝見しました。 こんなことがこんなに手軽にカメラ一台で実現する時代が来るとは…。 |
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しかもすべての動画記録モードで「記録時間無制限」で撮影できるという点も維持しております。
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つまり4K/30Pから4K/60Pにフレームレートの上限が上がったにも関わらず、「記録時間無制限」は維持できたということですね。これは処理能力の向上による恩恵ですか?
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デバイスの処理能力の向上も大事ですが、放熱設計技術の向上問題がも大きいですね。 記録時間に関しては弊社独自の放熱・省電力設計が効果的に温度上昇を抑制していることで無制限を実現しております。 内部の回路の省電力設計だけでなく、マグネシウム合金製の外装にしたことや、アルミニウム製の放熱プレートも効果的な放熱に寄与しています。このアルミニウムプレートの厚みを部分ごとに変える等、工夫を凝らしました。 |
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厚みを変えることで熱伝導をコントロールして放熱の効率を上げるわけですね。そんな地道な設計まで。
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本当に初期の段階では排熱用にファンを内部に搭載したような、中判カメラのような箱型の厚みをもったモックアップでした。(笑) これではさすがにお客様にお買い上げ頂けないだろうと、相当なブラッシュアップを重ね、ファンがなくとも温度上昇を抑え込むことができました。本当に部材、設計すべてにおいてトライ&エラーを繰り返した日々でした。 |
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空冷ファン付きのミラーレス一眼はたしかに嫌ですね。(笑) ガジェット好きとしてはそれはそれでグッとくる部分もありますが、動画撮影の際の静音化もネックですね…。 |
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それに、温度上昇を抑えて動画記録時間を延ばすという点では、現時点では圧倒的にマイクロフォーサーズのセンサーが長けている事実があります。 映像業界で確固たる地位を確立しているSuper35mmのフォーマットなどもありますが、同様の機能を持たせようと思えば、最長20分程度しか連続記録はできないはずです。それほどに熱の問題は大きいのです。 |
GH4ではクロップで4K記録を行っておりましたので、画角が狭くなるのがネックでした。 今回はセンサー全域からの読み出しということですが、ダウンサイジングは「ラインスキップ」「ピクセルビニング」など如何なる処理でしょうか。 |
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世の中に出回っている呼び名に当てはめるのが難しいのですが、全域から読み出した情報を“高周波”、つまり細かいディティールを重要視しながら縮小するような処理と言えばよろしいでしょうか。 ラインスキップのように読み飛ばしはしておりませんのでモアレが目立つことはありませんが、かといってビニングといった一部を一括りにして読み出す方法とも違っています。 |
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なるほど、複雑な制御になっていそうですが、解像感をできる限り維持できる方法で4K解像度に落とし込んでいるということですね。そのうちこのダウンサイジング処理にも呼び名が生まれると言い表しやすいですね。 |
以前はHDMI入力に対応している外部レコーダーでのみ記録可能であった4:2:2 10bit記録ですが、GH5では「4:2:2 10bit 4K/30p」でカメラ内記録が可能となりました。 |
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カメラ内でできることがとてつもない勢いで進化していますね。 |
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とはいえ、「4:2:2 10bit 4K/30p」記録なら、カメラ内収録中にもHDMI出力が可能ですので、ATOMOS社の「SHOGUN FLAME/NINJA FLAME」を用いることで編集時に扱いやすいProResでの記録も可能です。
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なるほど、H.264の圧縮された4K動画データは編集時にとても重たいですからね。まだまだ外部レコーダーのメリットは充分にありそうです。 |
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そういうことです。ちなみに対応機器はより限られてしまいますが、「SHOGUN INFERNO」であれば「4:2:2 10bit 4K/60p」での出力も可能になります。この場合にはカメラでの同時記録は不可となります。 |
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私も個人的に4:2:2 10bitの素材を活かすような編集を行ったことがないのですが、わかりやすく説明すると、4:2:2 10bitの記録によるメリットはどういった部分で感じられますか? |
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4:2:2 10bit記録は、業務用途では必須とされるクオリティの情報量です。 一般的なカメラ内動画記録は4:2:0 8bitですが、人の眼が敏感な明るさの情報はきちんと保ちながらも、4:2:0の信号では色の情報が半分に欠落しているわけですね。さらに8bitに対して10bitでは64倍の情報量を持っていることになります。 これによる差が出るのは、カラーグレーディングの際にどこまで緻密に色調整を追い込めるか。さらには写真のRAW現像のごとく昼間に撮影した映像を夕方のように仕上げるようなダイナミックな調整にも耐えるような編集耐性を備えます。 また、情報量が多く、色の分離が明確であるため、グリーンバックで撮影し、CGの合成用に切り抜くような作業を行う時に非常にわかりやすい差が出てまいります。 |
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たしかに本当に映像制作現場でしか行われないような手法によって感じられるような差ではありますが、そういったものが一般的に手に入れられるカメラの中に備わっていると考えると、相当なことですね。 |