“『Nikon Z f』に似合うレンズで、春の風景を柔らかく落とし込んでくれ見た目もクラシカルにまとめてくれる”
そんな条件で他スタッフにオーダーしました。スタッフのチョイスは『Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4 SC VM』でした。マウントアダプターに使用するのは、『SHOTEN マウントアダプター ライカMレンズ/ニコンZボディ用 ヘリコイド付き LM-NZ M EX ブラック 』。『Nikon Z f』のスマートなスタイルを崩さないし、コーディネートで見た目にもなかなかかっこいい。
カメラの見た目って写真を撮る上で写りには関係ないのかもしれませんが、カメラを使う人間の気分にかなり影響すると私は思うのです。カメラのコーディネートがかっこいいと、ちょっと気分が上がりませんか。私だけでしょうか。

これ以上は余談になりそうなのでさておき、今回はこの組み合わせで冬の終わりと春の始まりの風景を撮影して参りました。

写真越しでは晴天に見える綺麗な青空ですが、実際この日は北風が強く最大21mと台風並みの暴風と晴れ間から急転して時折の春雷。
暴風に抗いながら冬の終わり、もしくは春の始まりを楽しむ人々もちらほらというところ。
森の木々はまだ冬の姿ですが春の日差しが降り注ぐ黄色の絨毯は、満開の菜の花です。

菜の花の花畑の間を通れるように整備してありました。
真ん中に立ってみると花の良い香りがして、菜の花の香りを知ることができます。
『Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4 SC VM』は春を撮影するのにピッタリな柔らかな描写が出せます。
キラキラと明るいボケ味がとても綺麗です。
一方、少し絞ると色味にクラシカルな雰囲気を写真に残しつつ、クリアな描写に変わります。

「Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4」はマルチコートとシングルコートが存在します。より懐かしくオールドレンズライクな発色と綺麗な虹色やオレンジ色のフレアを楽しみたい方は、このシングルコートがおすすめです。このように入る光を角度で調整することによって、アクセントとして楽しめる虹が絵の中に入ります。
今回はマウントアダプターを介しての使用ですが、問題なくこうして写真のなかに虹を創ることができました。

農家体験ができるエリアには沢山の畑があったのですが、実りの季節ではないので全体的に冬の様相。
規則正しく並ぶ茶畑のグリーンもいささか鮮やかさがありませんが、レンズが映し出す絵もあってノスタルジックな雰囲気に拍車がかかります。

個人的に好きで様々なオールドレンズと呼ばれるものを使ってきましたが、そういったものほど描写は柔らかくはなりません。
F1.4のNOKTONということで構えてしまいましたが、焦点の合わせにくさもなく絞ればスナップ撮影用のレンズとしても使えるかなという印象です。
また写真の四つ角にはっきり分かるくらいの周辺減光が出ますが、それも味としてみるか要トリミングの部分としてみるかは使う側の好みだと思います。
『Nikon Z f』は書き出されるJPGデータの大きさも6048×4032ピクセル(撮像範囲［FX（36×24）］の場合)なので、編集の選択肢は豊富です。

薄暗い茶室で一服。溶けていく周りの綿菓子のような柔らかなボケがこのレンズの持ち味。
こういった茶席で出される和菓子は、日本の四季に合わせたものに変化するのも楽しみの一つ。
冬ならば焼き物や、雪に見立てた白い菓子が多くなり秋は栗や柿や紅葉のモチーフが多いです。
夏は涼し気な透き通った葛餅が好まれ、2月の立春から暦の上では春となり5月頃までは梅や桜など花をモデルにした練り切りが多いです。
今日は桜の練り切りのようです。二つに割ると中からこしあんが出てきました。
歩き疲れた体にありがたい甘み。美味しく頂きました。

少し絞って撮影すると風景や建築物もスナップ撮影できます。良いテンポでシャッターを切っていきたい時は少し絞るのもおすすめです。
レンズの特徴なのかやはり雰囲気に懐かしさが残る写りですが開放とは異なり、よりクリアに写ります。

実はこのレンズ、私がこうして記事を書かせて頂くのは2回目で以前は「SONY α7II」との組み合わせでした。カメラボディが違うとここまで発色が変わるのだなと驚きもありました。優しい描写のオールドレンズライクに撮影したい方にはこの『Nikon Z f』との組み合わせをお勧めいたします。
持ち運びしやすい小さな組み合わせで撮影に集中でき、新しい写真の楽しさを教えてくれるレンズでした。
見た目もおしゃれにまとまりますし、これからのおでかけに丁度良いコーディネートです。