SONYFE 35mm F1.8
数多いFEレンズのラインアップの中でもコストパフォーマンスに優れたスタンダードシリーズはFE 50mm F1.8、FE 85mm F1.8とありましたが、広角側の35mmが遂に追加され、スナップからポートレートまで幅広い撮影に対応できるようになりました。今回のKasyapaは多くの方が待ち望んでいた1本、『SONY FE 35mm F1.8』のご紹介です。
まずはふわりふわりと尾びれをなびかせて泳ぐ金魚の涼しげな一枚から。水色を背景に鮮やかな赤色がとても印象的です。ゆったりと泳ぐ金魚ではありますが、縦横だけではなく奥や手前にも常に動くので、捉えるのが意外と難しい被写体でした。しかし素早くフォーカスしてくれるレスポンスの良いAFのおかげもあって綺麗な一枚を残せました。
薄曇りの中、見上げた木々の葉が美しかったので思わずシャッターを切ったカット。ほんの少し絞っただけで葉の一枚一枚を鮮明に写し出してくれました。
街中でふと目があったように感じたマネキンをモノクロで。本レンズが生み出す線と階調はモノクロでも相性がいいと感じました。コントラストが濃すぎず淡すぎず、FE 35mm F1.8が持つ旨味を引き出せると思います。また、撮影の際にしっかり顔認識のAF枠が出てきた事に驚きました。レンズのみならず、カメラの顔認識AFの凄さを感じました。
抜群の携帯性と使いやすさ
長さはFE 55mm F1.8 ZA程度のサイズ感にフォーカスホールドボタンを搭載したFE 35mm F1.8は携帯性、操作性ともに抜群のレンズです。初めは35mmにしては少し鏡筒が長い様に感じましたが、実際に使用してみるとピントリングやフォーカスホールドボタン位置が絶妙で、指の感覚だけで直感的な操作と撮影が可能でした。α7 IIIにつけて丸一日撮影を行いましたが、とにかく軽快。ちょっと出かける際に着けておく常用スナップレンズに、ズームレンズにプラスで持っていく単焦点に、あらゆるシーンで活躍してくれる1本です。
冒頭に掲載した金魚と同様に、クラゲもゆっくり動いているようで意外と難しい被写体です。スマホやコンデジのオートモード撮影で失敗した経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。その失敗の要因はやはり光量。水槽内がライティングされているとはいえ、結構な暗さなので露出もシビアに調整しなくてはいけません。その点で言えば本レンズの開放F1.8はF2.8のズームレンズよりアドバンテージがあると言えるでしょう。
砂の中から顔を出すチンアナゴ。みんな同じ方向を向いていますが、これは水が流れてくる方向を向いて、一緒に流れてくるエサを待ち構えているためだそうです。このカットはチンアナゴに瞳AFが効いているのでは?と思うほど素早くAFが反応してくれました。くっきりと写し出した瞳や模様など愛らしい表情を捉えてくれました。
FE 35mm F1.8の特徴として、最短撮影距離が0.22mと近接能力が高いことがあります。使いやすい画角も相まってテーブルフォトや花など撮影する時に重宝することは間違いないでしょう。この時も水槽にレンズを密着して撮影。映り込みを気にすることなく撮影することができました。
高いレベルでまとめ上げたスタンダードレンズ
誰しもが軽快に使えるレンズでありながら、描写も一級品。FE 35mm F1.8はまさに理想のスタンダードレンズでした。GMやツァイスは素晴らしいレンズばかりですが、高性能を求めるが故に大柄で重いレンズが多いのも確か。ミラーレス機の魅力である軽量・コンパクトなシステムを目指すのであれば本レンズのようなパッケージは非常に魅力的です。気軽に持ち運べて使えるレンズほど、自然と撮る写真も増え、いい写真を撮れる機会も増えるはず。実際にFE 35mm F1.8を使用して、いい写真が撮れる予感のような物を感じました。これからフルサイズミラーレス機を使う方にも、今まで歴代の機種を使ってきた方にも、自信を持ってお勧めできる1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff