FUJIFILM X-T3
今回のKasyapaでは、2018年9月20日発売の新製品『FUJIFILM X-T3』をご紹介いたします。
X-T2の発売から早いもので丸2年。後継機の登場を今か今かと待ち望んでいた方も多くいらっしゃることでしょう。
いったいX-T2からどれほどまでの進化を遂げたのか、その性能を確かめるべく早速撮影へと向かいました。
冒頭の写真は、映画用のフィルムから生まれたフィルムシミュレーション「ETERNA」で撮影をした1枚。独特の柔らかい写りが特徴的で、今年3月に発売されたXシリーズのフラッグシップ機『X-H1』で初めて搭載されたフィルムシミュレーションでもあります。
フジフイルムを使う理由として、この豊富なフィルムシミュレーションを挙げられる方はかなり多いのではないでしょうか。筆者もそのうちの一人で、普段はスタンダードで撮ることが多いのですが、フジフイルムを使う時だけはシーンに応じてフィルムシミュレーションを変えて撮影をします。フジフイルムでしか出すことのできない多彩な色彩表現は、撮影意欲を掻き立ててくれるのです。
さらに、中判ミラーレス機『GFX 50S』にのみ搭載されていた、彩度が高い被写体においてより深みのある色と階調表現を可能とする「カラークローム・エフェクト」機能もXシリーズで初搭載、さらには「モノクロ調整」機能の追加もされる等、フィルムシミュレーション以外の機能もさらに充実。フジフイルムの“色”に対する並々ならぬこだわりが伺える1台だと感じました。
『X-T3』は裏面照射型の新センサー「X-Trans CMOS 4」をXシリーズで初めて搭載。第4世代になったことで更に進化し、Xシリーズ史上最高画質である2610万画素を実現しました。また、上の写真をご覧いただくと分かるように、ローパスレスであるのにも関わらずしっかりとモアレを抑えてくれています。
大人気のフィルムシミュレーション「ACROS」で。画面越しであることを忘れてしまいそうな圧倒的描写力。この写真を拡大して見た時に、あまりの解像感にゾクッとしました。
今回の写真は全てキットレンズである『XF18-55mmF2.8-4 R LM』で撮影をしています。キットレンズと言えど、そこはやはりフジフイルム。吸い込まれるような美しいボケ味を見せてくれました。
『X-T1』と『X-T2』は、発売時ブラックのみで後からグラファイトシルバーエディションが発売されていましたが、『X-T3』は最初からブラックとシルバーの2色展開です。
今回はシルバーモデルで撮影を行いましたが、グラファイトシルバーよりも若干明るく、それでいて上級機としての高級感・存在感を感じられる深みのあるシルバーであるのが印象的でした。フジフイルムのカメラは性能はもちろんのこと、物としての完成度の高さも大きな魅力のうちの一つです。ついつい手に取りたくなる、傍に置いておきたくなる、そんなカメラだなとフジフイルムのカメラを手にするたびに思うのです。
曇天の中での撮影だったため少々ISO感度が高くなってしまいましたが、ISO6400という高感度でも水しぶきのひとつひとつまでしっかりと鮮明に描写してくれていたのには驚きました。低照度の限界も-1EVから-3EVまでパワーアップしたので、夜間の撮影でも活躍してくれること間違いなしです。
また、画像処理エンジンが「X-Processor 4」へと進化。こちらのエンジンは、4つのCPUを搭載したことで『X-T2』や『X-Pro2』と比べてなんと約3倍もの処理速度を実現しています。これにより、冒頭でご紹介した色表現に加えて連写性能も大幅にパワーアップ。最速30コマ/秒のブラックアウトフリーの高速連写が行えるようになりました。
この写真も高速連写で撮影をしたうちの1枚なのですが、撮影した写真を確認してみるとあまりにも滑らかで、まるで動画を見ているようでした。そして何よりブラックアウトフリーなので被写体を逃すことがありません。更には動体撮影に最適な「スポーツファインダーモード」も搭載されていたりと、かなり連写・動体追従性に力を入れていることが分かります。
撮って出しとは思えないほどの素晴らしい発色です。お天気の優れない日でも、フジフイルムのカメラでならこんなにも鮮やかに撮影を楽しむことが出来るのです。
この写真は上の方に咲いていた花を捉えた1枚ですが、こういう時にチルト式タッチパネルは重宝します。タッチシャッターの精度も良く、狙った被写体にしっかりとピントを合わせてくれました。
使用機材:FUJIFILM X-T3 + XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS【ACROS】
ACROSモードで撮るとどんな写真もたちまちカッコよくなるのでついつい多用してしまいますが、「白と黒でここまで表現できるのか」と撮るたびに驚かされます。窓の部分の階調表現も見事です。
フジフイルムの色彩表現が、ワンランク上の領域へ。
処理速度が向上したことで色彩表現がより豊かになり、動体撮影はもちろんシネマカメラに匹敵する動画性能を持ち合わせるなど、『X-T3』は静・動両方で活躍すること間違いなしのカメラであると言えるでしょう。
そして、瞳AFの性能が大幅に向上していることも特筆すべき点です。フジフイルムは肌色の表現が素晴らしく、愛用されている方にはポートレートカメラマンの方も多くいる印象を受けますが、今回の瞳AFの性能向上によってX-T3に乗り換える方も多いのでは…と感じるほどに目覚ましい進化を遂げていました。
また、外観で言うと『X-T2』からほんの少し大きくなっただけで、ボタンの配置や形状はほぼ一緒です。強いて言うならば、『X-T2』の常用ISO感度は200からでしたが『X-T3』は160からと性能がアップしているため、ISO感度のダイヤルに「ISO160」の表記が追加されたという点と、タッチパネルが追加された点でしょうか。
『X-T2』を愛用しているユーザーからすると、操作系に変わりがないのはとても嬉しいポイントです。また、ファインダーもドット数が増え、より鮮明になりました。
あらゆる面において大幅な進化を遂げた『FUJIFILM X-T3』。ニコン・キヤノンのフルサイズミラーレスと同時期に登場したということは、フジフイルムの相当な自信作であるということが想像できます。そして、実際に使ってみてその想像は確信へと変わりました。フジフイルムの新たな一歩ともいえるカメラ。ぜひ手に取って見てください。
Photo by MAP CAMERA Staff