Milvusシリーズ6本目の本レンズを、待ち焦がれていたお客様も多いのではないでしょうか?今回ご紹介するのは『Carl Zeiss (カールツァイス) Milvus 50mm F2 M』です。
最短撮影距離は24cm。1:2のマクロ撮影を行うことができる本レンズ。開放での近接撮影はなかなかピント合わせがシビアではありましたが、写りはさすがのMilvusシリーズ。ヌケがよく重厚感のある写りが目を引きます。
1枚目にご紹介するのは、毎年開催されている入谷の朝顔市の模様です。なんと今年で68年目なのだそう。今年は平日の開催でしたが、平日であることを忘れてしまうくらいに多くの人で賑わっていました。
本レンズはマクロ撮影はもちろんのこと、スナップ撮影やポートレート撮影でも活躍すること間違いなしのレンズです!
レンズの名称にプラナーと付いてはいませんが、レンズ自体に「Makro Planar」と刻印されています。プラナーらしい鮮やかな写りを見せてくれました。女性の浴衣や髪飾り、背景の緑も綺麗に発色していますね。
最近のカメラはだいたいにおいてライブビュー機能が搭載されています。今回使用したNikon D5も例外ではありません。
ファインダーでのピント合わせに不安がある方は、ライブビューを使用してピント拡大しながら撮影してみるのも1つの手です。
逆光耐性がしっかりとしているため、こういった日差しの強い撮影条件でもフレアやゴーストに頭を悩ませることはありません。
ピントリングの素材は、指が滑ることを防いでくれるラバー製。特にマクロ撮影は細かなピント合わせが必須となりますのでこれはありがたいですね。
ちなみに、他のMilvusレンズと同様にニコン用は絞りリングが付いていますが、キヤノン用は絞りリングが付いていません。レンズの見た目や重量も少々異なっており、ニコン用はすこしマウント部分がきゅっとスリムになっています。また、ニコン用は絞りリングが付いているためデクリック機構も搭載!動画撮影にも役立つ安心の設計です。
ここから機材を変えて、Canon 5Dsで撮影をしています。
近接撮影でのボケの柔らかさはお見事!どうですか、このとろっとろのボケ具合。丁度真ん中のやくにピントを合わせ撮影をしましたが、すぐそばにあるはずの向こう側の花びらが既に背景のボケに飲み込まれてしまっています。特に茎の部分のボケ具合に感動した1枚でした。
冒頭の浴衣に引き続き、夏らしい被写体をチョイス。夏特有の被写体は透明感があるものが多いので、ツァイスのヌケの良い描写ととてもよくマッチします。
風鈴のガラスの質感がよく表現されている1枚です。 中央のボケはほぼ丸に近い形ですが、周辺のボケはややレモン型。
先ほどの花の写真に引き続き、こちらも息を呑む描写です。エノコログサにしっかりとピントを合わせて撮影をしましたが、実はこの写真、背景のどこかに人がいます…わかりますでしょうか?
撮影をしているときに丁度、背景に人が入ってきてしまいどうしようかと思ったのですが、そのままシャッターを切ってみてびっくり。言われないと気付かないほどにボケに飲み込まれているのです。
(正解は中央後方にある水色の部分でした。)
先ほどの写真よりも近接での撮影です。このあたりからだいぶピント合わせがシビアになってきます…。今回の撮影では三脚を一度も使用していませんが、風が吹いて被写体自身がブレてしまうことはあったものの、不思議と手ブレ写真はほとんどありませんでした。
それもこの手に馴染む少し丸みを帯びた外観のおかげでしょう。レンズ本体とフードに段差がないこのフォルムに最初こそ違和感を感じたものの、実際使用してみるとホールド感が格段に向上しているのがよくわかります。
Milvusシリーズは安心安全の防塵・防滴構造。マウント部分の青いシーリング加工により、ほこりや水の浸入を防ぎます。
この写真も噴水の水がかかってしまうくらいに近寄って撮影をしましたが、レンズには何の影響もありませんでした。
それにしても、手前から奥にかけてのボケの層が美しいですね。特に後ろに折り重なっている玉ボケは、まるで宝石のようにきらきらと輝いています。
葉っぱにぐっと寄り、最短まで距離を詰めました。開放+最短のピント面の薄さがよくわかる1枚です。
虫が苦手な方はごめんなさい…。と言っても、撮っている私もそこまで得意ではないのですが、蝉の抜け殻をこんな至近距離で見るのは初めてだったので、ついつい撮影をしてしまいました。
拡大して見てみると、足の部分に細かな毛がたくさん確認できます。夏の訪れを感じた1枚でした。
『Carl Zeiss Milvus 50mm F2 M』の圧倒的描写力をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。 私たちが普段見慣れた景色も、マクロレンズを通して見てみるとまた違って見えて面白いですよね。
そして、このレンズの凄い所は写りだけではありません。上の写真をご覧いただいても分かる通り、レンズフードは金属製。フードの内側はベロアのような素材でコーティングされているため、フレアやゴーストを防ぐだけでなく、衝撃からもレンズを守ってくれます。 D5や5Dsというフラッグシップ機に付けても様になるその高級感ある見た目もツァイスならでは。フード側面にちらりとのぞくツァイスの青いロゴが更に所有欲を満たします。
ピントリングをぐるぐる回していくと、マクロの指標が顔を表します。1:10から1:2まで、レンズ自体にしっかりと刻印されていました。
また、右下に見える少しへこんだ部分は、レンズを構えた際に丁度指があたる部分。(ニコン用は絞りリングがあるため、少しこの部分の幅が狭いです。)おそらくレンズが滑らないようにひっかかりを持たせたのでしょう。細かい所まで配慮がなされている、さすがはカールツァイスです!
Photo by MAP CAMERA Staff
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