LAOWA9mm F2.8 ZERO-D
小型の超広角レンズや高倍率マクロレンズなど、個性的なラインアップが揃う「LAOWA」のレンズ群。これまでKasyapaでも4本のレンズを紹介し、コストパフォーマンスの高い優れた性能をお伝えしてきました。今回はさらに魅力的なAPS-Cミラーレス用の超広角レンズ『9mm F2.8 ZERO-D』を紹介いたします。
商品名に「ZERO-D」の記載があるとおり、ディストーションを限りなくゼロに抑えた光学設計を採用。35mm判換算で13.5mm相当の広い画角を持ちながら歪みの影響ない撮影が楽しめます。
若干、4隅に周辺減光が見られますが、隅々までクリアに描写しているのが分かります。広い風景を求め海へ向かったものの生憎の空模様。遠くまで見渡すことは叶いませんでしたが、冬にしては穏やかな波の様子と今にも雨が降り出しそうな空の様子を綺麗に捉えてくれました。
マクロレンズの開発にも力が入っているメーカーだからという訳ではないと思いますが、本レンズは近接撮影でも優れた性能を発揮します。最短撮影距離は12cm。広角レンズ特有のパースが、早咲きのチューリップを大迫力で捉えます。花びらのグラデーションはもちろん、雄しべ、雌しべまで細かく描写します。
近接から奥行きを持たせれば、単焦点ならではの大きなボケ味も楽しめます。
コンパクトながら10群15枚という贅沢なレンズ構成。堅牢性に優れた金属筐体ながら約215gという軽さは大きな魅力です。
今回はレンジファインダースタイルで根強い人気の「FUJIFILM X-Pro2」に装着して撮影しましたが、ファインダー窓にも干渉せず、とても使いやすい印象を持ちました。スナップ撮影に最適なサイズのレンズは、普段の景色を違った雰囲気で切り取ってくれます。
街中で見つけたホログラムのオブジェの中を超広角レンズで覗いてみると、周辺光量減と相まって水の中のような不思議な写真になりました。レンズの特徴をより理解すれば、もっと楽しみ方が広がるレンズだと感じます。
2017年に同じ”ディストーションゼロ”の「LAOWA 12mm F2.8」で撮影した東京駅のドーム天井で、もう一度トライしました。広角レンズでの1.5mm差(35mm換算で)は想像より大きく、見比べると若干狭く感じますが、肉眼では見えづらい細かなところまで捉える高い解像力に差はありません。
スナップ撮影も楽しい超広角レンズ
超広角レンズながらフィルターが装着できるのも嬉しいポイントです。レンズの保護だけではなく、NDフィルターなどを駆使した動画撮影など幅広いシーンでの活躍が見込めます。 また、本レンズは歪みがなく、中央部ではとてもシャープな描写をしますから、トリミングを前提にした撮影にも適しています。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff