FUJIFILM X-T1の登場により大口径ズームレンズを望む声が高まったXシリーズ。今回は『XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR』に続くF2.8通しの第2弾『XF 16-55mm F2.8 R LM WR』のご紹介です。35mm判換算で約24mm~84mm相当の焦点距離をカバーする本レンズは12群17枚のレンズ構成に円形絞りと最新のレンズコーティングを施し、防塵防滴機能まで兼ね備えたXF標準ズームのフラッグシップモデルです。高性能レンズが揃うXシリーズだけに、その描写力に期待をしてしまいます。大きさと重さから見ても只者ではない雰囲気の本レンズ、果たしてその描写力はいかなるものなのか。早速本レンズをX-T1へ装着し試写へ向かいました。
落花した椿。儚くて美しい光景は春の訪れを予感させてくれました。
フォーカス面はシャープに解像しつつ、減光や歪みを感じさせない高い光学性能です。新開発の「Nano-GI コーティング」は強い光の反射を受けてもゴーストやフレアにとても強く、クリアな写真にしてくれます。
和室で抹茶を飲み、ひと休み。
本レンズの最短撮影距離は標準で0.6m。マクロモードを使用すると広角端で0.3m、望遠端で0.4mです。F2.8の明るさを生かし、グッと被写体へ近付けば美しいボケ味が写真を包み込みます。
立体感のある笹のショット。F5.6で四隅までしっかりと写り込んでいます。
本レンズの持つ解像力の高さをX-T1のローパスレスセンサーがさらに引き立てています。
まるで高性能な単焦点レンズで撮影している様な先鋭な描写です。緩やかにカーブするガラス面と格子枠を、画が潰れる事無く細かな所まで描写しています。
氷の冷たさまで伝わってきそうな写真です。絞り開放でもフォーカス面は実にシャープ、ズームレンズでここまで写るのかと驚きました。
本レンズを最初手にしたとき、何気なく自分の足を露出開放で撮ったのですが、写真を拡大してみるとズボンの繊維が一つ一つ折り重なる所までシャープに描写する性能に大変驚きました。ここまで写る標準ズームレンズはなかなか経験がありません。
そして撮影時に感じたのがレンズ自体の完成度の高さです。金属鏡筒のしっかりとした手応えと手になじむ形状、絞りリングのクリック感も素晴らしくF22からA(オート)へ切り替えの時は感触を変えてある所など、細かな所まで良く作り込まれています。フィルター径はXFレンズで最も大きい77mm、重量655gという迫力ある大きなレンズですが、このレンズ性能を思えば「高性能が故のこと」と納得してしまうはずです。
『XF 16-55mm F2.8 R LM WR』はフラッグシップの名に恥じない、単焦点レンズに迫る素晴らしい性能をもったレンズでした。描写性能にこだわりたいカメラファンも納得する一本だと思います。今までのXシリーズユーザーはもちろん、Xシリーズに興味や買い替えを検討されている方に是非一度使ってその写りを体験していただきたいレンズでした。
Photo by MAP CAMERA Staff