最近は梅雨のような天気が続きましたが、晴れに恵まれたので今回も『FUJIFILM フジノン XF 50mm F1.0 R WR』のご紹介をさせていただきます。短い間でしたが使っている内に感じたことなどお話ししたいと思いますのでぜひご覧ください。
「F1.0」は屋外日中では思った以上に明るく、1/8000秒でも撮影できなかった為今回は1/32000秒まで切れる電子シャッターを多用しています。電子先幕シャッターはボケに影響が出てしまうので機械式か電子シャッターでの撮影を推奨いたします。ちなみにフィルムシミュレーションの「ASTIA」のブルーの発色が服も空もとても気持ちよく表現してくれました。明るめの発色は人物撮影にもおすすめです。
近所の散歩ならまだしも、少し遠出した場所ではついつい鉄板コースのようなところを歩いてしまいます。今回初めての場所を歩いてみたところ、とても好きなスポットに出会えました。フィルムシミュレーションの「クラシックネガ」と相性が良さそうだな、とシャッターを切った画です。不要な部分を削ぐような感覚で構図を追い込めるので、遠景も撮りやすいレンズだと思います。
あと3ヶ月足らずで訪れるクリスマスの為にスタンバイ中の人形達。前後のボケ感がとても自然で、日の入り込みが印象的でした。先ほどのカットもそうですが、このレンズ(というのかフジフイルムのカメラなのか)を使っているとハイキーに寄せた写真を撮りたくなります。
この車の下でくつろいでいた猫を発見。チルト式モニターを駆使して撮影していた筆者に、憩いの時間を邪魔されてややご機嫌斜めになってしまいました。F2に絞りましたが、まだ柔らかさを残す写り。この甘さに美味しさを感じる方ならますますオススメの逸品です。
逆光での撮影に臨んで驚いたのが、撮影前のファインダーでは強烈なゴーストが現れていたのにいざ撮影すると嘘みたいに消えて無くなりました。写真はF1.6とやや絞っていますが、開放絞りでも全く同じ感じになりました。フレアは好きだけれどゴーストは嫌い、という筆者にとってはこの写りはとても嬉しいものです。
海で何かを発見した友人の叫び声に全力で駆け寄る少女、その瞬発力と好奇心が羨ましい限り。筆者自身にはもうこんな瞬発力はありませんが、レンズはしっかりとその瞬間を捉えてくれました。このクラスのレンズとしてはスナップにおける反応速度は十分なレベルに達していると思います。それにしても「クラシックネガ」は本当に良い色を出してくれます。背景ボケを見ても『FUJIFILM フジノン XF 50mm F1.0 R WR』との相性はとても良いでしょう。
F3.2まで絞ると地面のざらっとした質感までしっかり描写し「カッコイイ」画になりました、開放絞りでの柔らかさからガラッと変わります。キリッとした画を求めるならF2.8をラインに考えていけばいいでしょう。
こういう艶かしいブラウン系にはフィルムシミュレーションの「クラシッククローム」を当てたくなります。室内にたれ込む光が印象的で撮影したカットで、F1.4とやや絞りですが扇風機の凸凹の立体感がよく出ていますし、それぞれの質感もしっかりと伝わります。
ビルに反射した夕日と影のコントラストに目が惹かれたのが一番。その後、街灯がちょこんと大きなビルと対になるような位置関係にあって面白いと感じ採用しました。あまり使わないのですがこの画にはマッチすると思い、フィルムシミュレーションの「Velvia」を当てました。コントラストと発色のバランスがぴったりでした。
やはりF1.0の開放値ではボケを楽しみたいところ。ワイヤーのおかげで薄いピントがより強調されました。口径食は少なからず発生しますがこの明るさのレンズとしてはとても抑えられているのではないでしょうか。
美味の選択。
前回『FUJIFILM フジノン XF 50mm F1.0 R WR』からもう一度撮りに行く機会を得たので、晴天の撮影が叶いました。F1.0というスペックはレンズの歴史でも数本存在しますが、APS-Cセンサーという事を考慮してもここまで立体感を感じることが出来るのは素晴らしいと思います。開放の描写と解像のピークのどのラインを掴むのか、撮影者にとっては使いがいのあるレンズでもあるでしょう。F1.0の描写に代え難い魅力があると感じた方には、ぜひオススメしたい逸品です。
Photo by MAP CAMERA Staff