スウェーデンの名門メーカー「HASSELBLAD(ハッセルブラッド)」。かつては人類初の月面着陸を記録に残す偉業を成し遂げ、世界中のプロカメラマン、フォトグラファーから支持されている、まさにプロフェッショナルのカメラ機材を作り続けているブランドです。そのハッセルブラッドが作り上げたミラーレス中判デジタルカメラ『X1D II 50C』の後継機種がついに世界発表されました。その名は『X2D 100C』。小型軽量ながら1億画素の中判センサーを搭載した次世代のミラーレスカメラ。今回のKasyapaはその『X2D 100C』を世界に先駆けてご紹介いたします。
まず大きなトピックとして挙げられるのが裏面照射型の1億画素を誇る大型センサーの採用。そして高解像な写真を強力にサポートしてくれる5軸最大7段の手ぶれ補正と、1TBの大容量SSDを搭載。極め付けは576万ドット、視野率:100%、倍率:約1.00×(等倍)のEVF。もうこれを聞くだけで本機の凄さが伝わってくるのですが、何よりも凄いのがそれらから生み出される超高解像力な写真の数々です。まずご覧いただきたいと掲載したのがレインボーブリッジを下から見上げた一枚。鉄骨やパイプはもとより、それらを繋ぎ止めるボルトや付着したサビなど肉眼を超えた域まで鮮明に写し出しているのがお分かりいただけると思います。今回のフォトプレビューではその解像力をお楽しみいただくために拡大画像の長辺10,000pixelで掲載しております。ぜひその凄みを体感していただければと思います。
レインボーブリッジを渡り終えて散策していると青々と茂るソテツが目に留まりました。艶々とした光沢のある硬質な葉をうまく表現できないかと絞り開放のF2.5でアンダー気味に撮影した一枚。自身が言うのも何なのですが、プレビュー画面に映し出された写真に思わず見惚れてしまいました。溢れるほど豊かな質感描写と立体感、ハッセルブラッドの世界観の一部を垣間見た気がしました。
海辺に停められたGB350。バイクよりオートバイという言葉が似合う美しいスタイリングを『X2D 100C』で捉えました。まるでカタログの中から飛び出してきたような一枚です。
今回は『X2D 100C』と同時に発表された新レンズ2本を携え撮影を行いました。冒頭など広いランドスケープを写し出したのに使用したのが『XCD 38mm F2.5 V』。何か被写体に注目してスナップに使用したのが『XCD 55mm F2.5 V』になります。
観光船を見送る後ろ姿をスナップしたカット。ハッセルブラッドのカメラといえば広告業界やポートレートの現場で使用されるシーンが多いイメージですが、何気ないこのスナップですら被写体の立体感だけでなく場の空気や雰囲気までも伝わってくる写真に思えます。
これも何気ない海辺でのスナップなのですが、この空気感がなんともいえません。私が写真を始めるきっかけとなった1枚にハッセルブラッド500CMで撮影された旅写真があるのですが、それとも似たような中判カメラらしい被写界深度と雰囲気です。
夕日が射す浜辺での帰り道。絞り開放で太陽を正面に入れて撮るというカメラにとっては厳しい条件ですが、フレアやゴーストなどネガティブな要素を感じない一枚です。シャドウも黒潰れすることなく、これほど光を素直に表現してくれるとは。さすがハッセルブラッドといったところでしょう。
海面の表情と陽の光。高解像力で階調豊かなカメラだからこそ成立することができる1枚です。この日は南風が強く、海面は少し風波が立つ状況。ISO 1600なので拡大すれば若干のノイズは確認できますが、塗り潰すような処理はせずレンズ本来の解像力を活かした画作りが非常に好印象です。
すでに完成されているデザインはそのままに、グリップ形状がより深くしっかりと握れるように変更されています。
背面液晶には新たにチルト式が採用され、ウエストレベルやローアングルでの撮影が軽快にこなせるようになりました。
新レンズである『XCD 38mm F2.5 V』と『XCD 55mm F2.5 V』
2本ともAFとMFの切り替えにクラッチ機構が採用されており、ピントリングを縦方向へ動かすとカチッとした手応えと共にフォーカスの駆動方式が変更できます。
軽快に使いこなす1億画素
1日使用して感じたのが、これほど軽快な1億画素の中判デジタル機は他には無いということ。同時発表された『XCD 38mm F2.5 V』と『XCD 55mm F2.5 V』を使用すれば、フルサイズミラーレスの中型機のような感覚で撮影することが可能です。しかも静音、低振動なレンズシャッターと強力な手ぶれ補正機構も相まって、手持ちの低速シャッター撮影でも高精細なスナップが誰でも撮れてしまうのが凄いところ。1億画素、中判デジタルという言葉に萎縮することなく、サクサクと撮影をこなす一台です。
また、RAW+JPEGだとデータ量が300MB近く(220MB+70MBほど)になるのでメモリーカードの大容量化は必至のように思われますが、ボディ内SSDの容量が1TBありますのでメモリーカードを入れなくても3,000枚以上撮影ができてしまうのです。今回は念のため128GBのメモリーカードも入れていったのですが、一度も使用することなく撮影を終えることができました。
画質性能、持ち運び、使い勝手、そしてこのカメラを持つ悦びを考えると『X2D 100C』は非常に魅力的で価値ある一台だと感じます。ハッセルブラッドが生み出した至高のフラッグシップ機、ぜひその手で確かめてください。
Photo by MAP CAMERA Staff