『FUJIFILM GFX100 II』。圧倒的な解像力と描写力を誇るラージフォーマット機のニューモデルが約4年ぶりに登場しました。現行比最大2倍の信号読み出し速度を実現した新開発1億2百万画素高速センサー「GFX 102MP CMOS II HS」「X-Processor 5」を搭載し、高速連写性能・高速AF・動画性能を実現。ISO80の常用感度化、新しいフィルムシミュレーション「REALA ACE」を搭載し、連写性能も5.3コマ/秒ブラックアウトフリー連写や8.0コマ/秒の高速連写、進化した被写体検出AFにより、あらゆるフィールドで活躍するラージフォーマット機になりました。そして性能だけでなく外観、使い勝手にも大きな工夫が施されました。日本の伝統的な和柄にインスピレーションを受けた三ツ矢状のパターンを採用した新開発の本体ラバー「BISHAMON-TEX」は様々な方向へのグリップ性を向上、天面のサブ液晶はさらに大型化されただけでなく手前側に11度傾斜させることで視認性を向上。シャッターボタンすぐそばに三連ファンクションボタンが搭載され、操作性もより快適になりました。
今回の撮影は全て「フィルムシミュレーション」に新しく搭載された忠実な色再現性とメリハリのある階調表現を併せ持ち、あらゆる被写体/シチュエーションに適した「REALA ACE」で行いました。圧倒的な解像感を誇る『FUJIFILM GFX100 II』と新しいフィルムシミュレーションの描写、ぜひご覧ください。
このカット、水溜まりのところはシャドウ部を最大まで引き上げています。無茶なことをしたのに引き上げたとき特有のノイズ感がほとんど見受けられません。しかもRAWデータではなくJPEGデータ。ラージフォーマットの豊富なデータ量に驚かされた一枚でした。このカットはクリックすると原寸大の画像をご覧いただけます。
世界初の「第4の感色層技術」を導入したネガフィルム「REALA ACE」の紹介では「目で見たままに近い忠実な色再現を目指し様々なシーンにおいて使いやすくしながらも、諧調にメリハリを持たせることで立体的な表現が得られます」とのことですが、まさにその通りという感想です。自然でおとなしい発色、ほど良いコントラストです。
新センサーの飽和電子数が向上したことで、ISO80が常用感度になり、更に広いダイナミックレンジ・低ノイズで撮影できるようになりました。光の当たり方が綺麗だったので草むらを撮ってみたのですが、非常に透明感のある描写です。
メカシャッター時にはセンサーの読み出し速度を現行最大2倍に向上させた新開発の1億2百万画素高速センサー搭載により、8.0コマ/秒の連写を実現。波のしぶきが上がった一番のタイミングを撮ることが出来ました。
『フジノン GF20-35mm F4 R WR』のような超広角レンズで撮影していると1億2百万画素の恩恵をヒシヒシと感じます。まさに「圧倒的」な解像力です。壮大な景色を全てこれで撮ってみたくなります。
同日発売された『フジノン GF55mm F1.7 R WR』は標準55mm(35mm判換算:44mm相当)の画角ですが、これだけ距離間のある被写体でもしっかりと浮き立たせることが出来ます。リサイズでもこの岩肌の解像感。驚きました。
『フジノン GF55mm F1.7 R WR』と「REALA ACE」で撮る逆光は柔らかい光が入ってきて、積極的に使ってみたくなります。画の仕上がりは異なりますが、「REALA ACE」は「クラシックネガ」より癖がなく、様々なシチュエーションで使いたくなるフィルムシミュレーションです。
夕暮れ時でも早いシャッタースピードで撮れるのも明るいレンズだからこそ。泡立つ波や濡れたゴツゴツした岩肌、非常にリアリティのある描写と解像感にセンサーの底力を感じる一枚です。
今こうして画面下を覆う竹藪を潜り抜け帰ってきたところで夕焼け空に入道雲が見えたので撮影。刻一刻と変わっていく空のグラデーションを繊細なトーンで描いてくれました。
「REALA ACE」というフィルムシミュレーションの特性も込みで、始終「色」の美しさに見惚れていました。他にも魅力的なフィルムシミュレーションが沢山ありますが、もうすでにこのフィルムだけでまた撮影に出かけたくなっています。
最後に筆者が大好きなGFXシリーズのアスペクト比「65:24」で締めさせていただきました。圧倒的な解像力と説得力があるからこそ、使いたくなるアスペクト比です。アスペクト比が変わることで産まれる表現の違いもまた楽しみの一つです。
研鑽のラージフォーマット
新開発された1億2百万画素高速センサーの解像力にスポットして撮影を行ってきましたが、期待、想像を遥かに超えた写りでした。ファインダー倍率1.0倍、944万ドットの高倍率・高精細のEVFの見え方は非常にクリアで、三連ファンクションボタンに初期設定されたフォーカスチェックも合わせて緻密なピント合わせを即時、快適に行うことも出来ました。サブ液晶の傾斜など細かな点で気配りがされているのが好感でした。同時発売される『EVFチルトアダプター EVF-TL1』も装着してみました。サイズ感がひとまわり大きくはなりますが様々なアングルで撮影を行いたい場合にはとても重宝するアクセサリーです。連写・動画性能の進化を一番に謳う本機ですが、じっくりネイチャーフォト・人物撮影を撮りたいユーザーにとっても嬉しい進化を遂げたカメラでした。「REALA ACE」はとにかく最高です。このカメラでしか写せない世界をぜひ。
Photo by MAP CAMERA Staff