フラッグシップよりもコンパクトに、でも画質や性能にはこだわりたい。そんなユーザーを虜にしてきた「X-T」二桁シリーズに新たな仲間が加わります。先代モデル「X-T30 II」が発売されたのは2021年11月、クラシックな外観デザインは継承しつつもラウンド形状ボディを採用。先代モデルより一回り大きくなった丸みを帯びたボディはしっかりとしたグリップ感を感じることができます。
またXシリーズとして初の機能「フィルムシミュレーションダイヤル」を備え、1934年の創業以来培ってきたカラーサイエンスをダイヤルを回すだけで、20種類のフィルムシミュレーションモードを直感的に選ぶことが可能になりました。もちろん最新の「REALA ACE」にも対応しているのも嬉しいポイント。今回は防塵防滴を備え、日常で最も使用頻度の高い16mmの広角から50mmの中望遠までをカバーした新レンズ「フジノン XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR」を装着して撮影してまいりました。フォトプレビューをどうぞご覧ください。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
単焦点レンズを中心に撮影を愉しんでいる筆者。同社のズームレンズを使用するのは「フジノン XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS」が発売された2012年以来、約12年ぶりのこと。当時はレンズキットに付属するズームレンズでこんなにもよく写るものかと衝撃的であったことを思い出します。その印象は今回の新レンズでもしっかりと継承されており、薄暗い木影のオブジェを金属の質感と立体感を上手に表現してくれました。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
新たに追加されたフィルムシミュレーション「REALA ACE」が使ってみたいなと、首からぶら下げ撮影を愉しんでいると気になる被写体を見つけました。5色のロープが太陽の光に照らされて白い壁に影ができていました。奥行きすら感じさせるすっきりとした表現はこのようなシーンにとてもマッチ。第5世代「X-Trans CMOS 5 HR」センサーと「X-Processor 5」の組み合わせはロープの質感もしっかり表現してくれました。ボディ(約438g メモリーカード・バッテリー含)と交換レンズ(約240g)を片手に街に繰り出すのは、驚くほど軽快で街中スナップにも積極的に持ち出したくなる組み合わせです。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
高速道路沿いの小道を歩いていると、美しくアールを描いた壁に蔦が張り巡らされていました。新機能「フィルムシミュレーションダイヤル」の登場です。従来はドライブモードやブラケット撮影切り替えを行うダイヤルが配置されていた部分が本機能に変更されています。先ほどまではフィルムシミュレーションをREALA ACEに設定していましたが、蔦の鮮やかさを表現したかったのでダイヤルを回しVelviaに変更。
筆者は今まで「Q.クイックメニューボタン→フィルムシミュレーションの項目を選ぶ→好きなモードを選ぶ」という過程で設定変更をしてきました。しかし今回の『X-T50』では左に配置されたダイヤルを回して選ぶだけで完了。撮った画が理想の表現ではなかった場合、すぐに変更して試すことができるので非常に重宝いたしました。これは自分色を選ぶのがますます楽しくなりそうです。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
建設中のビルを取り囲むように重機が作業をしている光景。今までは開放感のある景色だったこの場所も少し圧迫感さえ感じてしまいますが、だからこそ青空と白い雲が映える1枚となりました。いつもであればクラシッククロームで彩度を+1に変更して、と筆者オリジナルの色味を追求するのですがダイヤルでサクサクと好きな色を探していたら「ETERNAブリーチバイパス」が理想的な柔らかな空気感を演出してくれました。これも気軽に設定変更をできるようになったおかげです。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
大きなビルが立ち並び、多くの車や人が行き交う場所。広角側で広大さを演出しつつ、超微粒子なモノクロで人気を博した「ACROS」でだれも行き交うことのないその瞬間が訪れるまでこの場所でシャッターチャンスを狙いシャッターを切りました。ビルの美しい造形美と、何も映り込まないその不思議な光景を演出することができました。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
川を渡るために高速、鉄道、一般道、歩道と4つの橋が奥へ奥へと連なっている光景。目に見えるその光景はどこを見渡しても橋、そこに通りかかった真っ赤なSUVをアクセントに望遠側でシャッターを切りました。今回使用したレンズ「フジノン XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR」の望遠性能レンズは非球面レンズ三枚、EDレンズ三枚を含む9群11枚の贅沢な構成により収差を抑制。センサーの性能を余すことなく発揮させる実力ある組み合わせであることを実感しました。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
煌びやかなショーウィンドー越しに、元気いっぱいノビノビと育つ観葉植物を撮影しました。反射するネオンサイン、そして店内のアンバー系の照明がアクセントとなりそのシーンをVelviaで切り抜くことで印象的な一コマとなりました。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
先ほどの明るく照らされた植物とは真逆のシーン。薄暗い夕暮れに美しく輝くイギリスの名車アストンマーティンの深みのあるパープルカラーをクラシックネガで撮影。望遠かつ開放絞りで撮影しておりますが、風合いや立体感を損なうことなく隅々までシャープな再現をしていることに驚きを隠せません。派手さもありつつ、どこか落ち着いた色味がクラシックネガととてもよくマッチした1枚となりました。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
街角にそびえ立つ大きな植物、背景にはレンガ、照明に照らされた植物の影が印象的なシーン。カラーモードで撮影すると実に情報量の多いシーンでしたが、ACROSならではの高いコントラストと引き締まった表現がマッチした1枚となりました。またISO 3200まで引き上げることで適度な粒状感もまた雰囲気を演出してくれています。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
まばゆい太陽に照らされた歩道。思わず目をつぶってしまいそうなシーンでしたが、レンズの特性もわかりやすいシーンでもあります。落ち着いたトーンでその光景を表現したく、クラシッククロームをセレクト。シャープさの中にもどこか優しさと温かさの感じられる1枚です。
使用機材:FUJIFILM X-T50 +XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
MY COLOR MY STYLE
「意のままに色をコントロールする愉しさ」といいましょうか。X-PRO1発売以来、筆者も長年愛用してきたFUJIFILMのデジタルカメラですが、一度カラー設定を決めてしまうと変更するためには所定の操作が必要となり、シャッターチャンスを逃さないためにもいつもの設定で撮ろうと判断したことも多くありました。
今回の新製品『X-T50』に初めて「フィルムシミュレーションダイヤル」が搭載されたことで、今まで感じたことのない直感的、かつ瞬時に作品作りができるこの感覚。このシーンは華やかに撮りたい、このシーンは少し落ち着いた色味で、カラーで撮ろうと思ったけどモノクロームの方が雰囲気がでるな。など自問自答しながらダイヤルを操る愉しさを実感することができました。
第5世代センサーの細部までしっかりと捉える圧倒的解像感と、画づくりを心行くまで自分スタイルで愉しめるこの感覚は他のカメラにはない特別な1台に仕上がっていると感じました。また今回の撮影で使用した新レンズ「フジノン XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR」は、XFレンズのズームレンズとして最軽量を更新。約240gという軽さからは想像もつかない高画質で第5世代センサーの魅力をしっかりと引き出してくれました。まさに相性抜群のこの組み合わせ、毎日持って歩きたくなる一眼をぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。
Photo by MAP CAMERA Staff