
20mmという画角は、星景撮影においてひとつの“完成形”だと思っています。空の広がりをしっかりと写し込みながら、地上景も無理なく構図に収めることができる。広すぎず、狭すぎない。その絶妙な距離感が、多くの撮影者に選ばれてきた理由のように思います。そこにF1.4という大口径を与えたのが、『 RF20mm F1.4 L VCM 』です。
キヤノンRFマウントにおいて、単焦点Lレンズの最広角を担う本レンズ。また、「RF F1.4 L VCM」シリーズとして、F1.4の開放F値から高い描写力を実現し、コンパクト設計ながら、円形フィルターが装着できたりなど、作りや性能にまでこだわり抜かれた一本。星景撮影も主眼に置きつつ、建築や風景、日常のスナップまでを一本でカバーするLレンズとして、今回は『EOS R5 Mark II』と組み合わせで様々なジャンルを撮影いたしました。
それでは、その描写をご覧ください。
街中で使う20mm。高層ビルが立ち並ぶ副都心は特徴的なビルも多く、見上げると大木を見上げるような感覚を覚えます。建築物では、絞り込んでF8〜F11で解像感を重視したくなります。構造物の直線や曲線、ガラス面の反射や光の明暗表現など、建築写真として求められる要素にもしっかり応えてくれます。
気になる歪みも特に感じることもなく、広角らしい広い範囲を写し取ることも可能です。大きな建造物も特徴的な建造物も、被写体が小さくなることなくダイナミックにそのままを記録できます。
柱や装飾の立体感、素材の質感が薄くならずにしっかりと残ります。
超広角でありながら、被写体に寄ることで空間の奥行きを醸し出せる点も印象的です。それもピント面の解像感と奥行のボケとの差が立体的に出るおかげのように思います。
最短撮影距離は20cm。広角レンズともなると景色などの全体を撮ろうと目が移りがちですが、視線を落としてみるとまた違った発見があります。倒木に生えるサルノコシカケ。子実体(キノコ)の向きを見ると、木が倒れたあとに育ったことがわかります。朽ちた大きい木の幹では様々な生き物たちのゆりかごとして次の命へのバトンが紡がれているようです。
前景から遠景までの解像感に淀みはなく「広角らしい抜けの良さ」と「Lレンズらしい解像度」が両立していることを実感します。F1.4もF8.0でもパープルフリンジなども出ることなく、描写が細かくなる木々の描写も精彩に違和感なく写し取ります。
葉の重なりなど、情報量の多いシーンでも破綻することなく、自然な立体感があります。高解像な描写でありながら、硬さが出すぎない点も好印象です。レンズの重さは約519g。ボディの手ブレ補正とレンズのコンパクトさを生かして、無理な態勢でもスローシャッター切れます。細部まで描き込みながらも、全体としては落ち着いたトーンに収まり、描写も風景写真としてのバランスが非常に良いと感じます。
木々の間を抜ける光などの何気ない要素であっても、立体感が残され画面の中にきちんと主役を作ることができます。
星景撮影において最も重要なのは、開放F値だけではありません。いかにその開放F値から使えるか、という点も重要です。たとえ開放F値が明るくても点像が鳥が翼を広げたように見えてしまうサジタルコマフレアが生じてしまうとせっかく開放F値が明るくても絞り込まなければならず実用F値が下がってしまいます。『 RF20mm F1.4 L VCM 』は、絞り開放F1.4からピント面が非常にシャープで、星一つひとつの輪郭が崩れない印象を受けました。周辺部まで含めて像が安定しており、画面全体で非常にしっかりとした写りであることが分かります。
F値が明るいことでISO感度を必要以上に上げることなく、シャッタースピードも星が流れないほどの露光時間で十分な光量を得られるため、星の色や空の階調が自然に残る点も大きな魅力です。と同時に『 EOS R5 Mark II 』の高感度耐性にも目を見張るものがあります。そして点像をくっきり写すレンズの解像感と4500万画素の高精細が合わさると、星が写りすぎてしまい味気ないものになる場合もあります。そこでレンズ前面にソフトフィルターを装着することで主要な星の存在感を際立たせることが可能です。
また同梱品として専用のリアフィルターホルダーが付属します。前面フィルターだと周辺部の星が流れるようになってしまいがちですが、シートタイプのフィルターをカットし、リアフィルターホルダーに差し込んで使用することでそのデメリットを最小限に留めることも可能です。今回はレンズ前面に円形フィルターを装着しましたがオリオン座を中心に星々の発色も捉えられており、地球から約550〜640光年離れた赤色超巨星のベテルギウスの色も良く出ています。


広さではなく、確かさを。
『 RF20mm F1.4 L VCM 』を通して感じた最大の魅力は、開放F1.4から迷いなく使える描写の確かさです。星景撮影のようなシビアな条件下においても、画面中心から周辺まで高い解像感を維持し、点光源を点として描き切るその性能には何度も驚かされました。一方で、建築やスナップ、自然風景といった日中の撮影でも、そのシャープネスと階調表現は非常に安定しており、被写体を選ばず使える性能の高さを備えています。
20mmという画角は広大な風景を写し取るだけでなく、前景を活かした構図や空気感を切り取る表現にも向いており、本レンズはその魅力を余すところなく引き出してくれます。高い光学性能に加え、Lレンズらしい信頼性と扱いやすさを兼ね備えた『 RF20mm F1.4 L VCM 』は、星から始まる表現を軸に、RFシステムの広角表現を確かなものにする一本。ぜひ使ってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff







