目の前に広がる景色の感動をそのまま写真に残したい。旅先で多くの方が一度は思ったことがあるのではないでしょうか。35mm判フルサイズでもその感動を伝えるのには難しい広角写真ですが、それを階調豊かなラージフォーマットで表現できる魅力的なズームレンズが登場しました。今回のKasyapaはフジフイルムGマウントの新レンズ『FUJIFILM フジノン GF 20-35mm F4 R WR』をご紹介いたします。
今までGFレンズのラインアップで最も広角だったのが18mm相当(35mm判換算)の画角を持つ『フジノン GF23mm F4 R LM WR』。歪みが少なく四隅までしっかり写し出す高性能レンズではありますが、より汎用性の高いズームレンズも欲しいというのが正直なところでした。そこへ登場した本レンズは35mm判換算で16mmから28mm相当のまさに“ど真ん中”の超広角ズームレンズ。開放F値もF4通しという事で一眼レフやフルサイズミラーレスから移行したユーザーにも感覚的に分かりやすく、扱いやすいスペックになっています。
街を歩くと秋の光になってきたと感じる今日この頃。カラフルな植木鉢の並ぶ店先にレンズを向け、秋の光とともに写真に収めます。
撮り始めてすぐ気付くのはその圧倒的な描写力。解像感はもちろんですが、写し出す被写体の色や質感、一見黒く見えるシャドウ部の情報量など、まさに圧巻の一言。何気ないスナップの中でラージフォーマットの凄みを感じました。
あまり見かけない珍しい植物の花壇を接写したカット。イングリッシュガーデンのような様々な草花の寄せ植えが素敵です。最短撮影距離は全域で35cmと短く、広い画角の中で主役を際立たせるような撮影方法が可能です。
このように視線を奥に誘導するような写真は広角レンズだからこそできる一枚。肉眼で見る以上に強調させるパースと距離感は本レンズを使う醍醐味の一つかもしれません。
歴史を感じる洋館にて撮影した一枚。この部屋に机と椅子がポツンとある雰囲気、標準画角以上では表せられない空気感と空間表現です。
『フジノン GF 20-35mm F4 R WR』の描写力、画角はもちろんなのですが、FUJIFILM機の多彩な色表現を使う事でより幅の広い作品づくりが可能です。この写真で使用したのはモノクロームフィルムの中でも階調表現豊かな「ACROS」のフィルムシミュレーション。ファブリックの織り目まで見える解像力もさることながら、グレーの濃淡の中に“深み”を感じる一枚です。
草原の四隅までしっかり写し出す描写力。何気ない景色も作品に変えてしまう凄みと言えばいいでしょうか、優れた性能に加え、それを引き出すボディがあってこそ生み出すことのできる画力(えぢから)です。
圧倒的視覚で魅せる
超広角レンズらしいダイナミックな画角に加え、見る者を圧倒する描写性を兼ね備えた『FUJIFILM フジノン GF 20-35mm F4 R WR』。昔から広角域は35mm判よりも中判、そしてバックフォーカスが短いレンズの方が歪みが少なく高精細に写ると言われてきました。近年はフルサイズミラーレス機の登場で広角域の画質が飛躍的に向上したと感じていたのですが、本レンズを使用してみて「やはりラージフォーマットは凄いな」と改めて感じた次第です。見た目はずんぐりと大柄に見えますが、手に取ると想像以上に軽いのもポイント。重量725gに加え82mmのフィルターも装着が可能ですから、ネイチャーフォトも大活躍してくれる1本でしょう。
ラージフォーマットを使う理由は撮影スタイルによって様々かと思いますが、この『FUJIFILM フジノン GF 20-35mm F4 R WR』はその意義を感じるレンズだと思いました。圧倒的な描写をぜひその手で体感してください