Leicaの単焦点レンズには同一の焦点距離でも様々な開放値のレンズが存在しています。この21mmという焦点距離にも、現行商品ではこれより更に明るいSummilux21mmという開放F1.4の弩級超広角レンズが存在しています。もちろんプライスも飛びぬけていますが…では暗いレンズは廉価版なだけなのか。その答え、実際に写真を見ていただければと思います。滑らかなトーン、前ボケ、後ろボケともに柔らかくどことなしに湿度を感じさせる美しい描写です。廉価版か否か、その答えはもちろん”No”でしょう。
特に金属の連続する階調や、滑らかなトーンが続いている被写体は得意なレンズのようです。描写も緻密で、破綻の無いのはさすがはLeica。
個々の素材の質感や、陰影の描写もじっくりと映し出す、迫力の描写です。強烈なボケなどで画が形作られるのではなく、細部、細部を突き詰めるような描写は素晴らしいものです。モノクロームでコントラストを強く出しても、画面全域に渡って破綻無く、描き出しすぎる程の描写力。画面の端々に写りこむ被写体もしっかりと存在感を持ち、軽量な事もあいまってスナップにも申し分ない相棒になってくれそうです。
後ろボケがイビツなのは、流し撮りのブレの為。広角レンズでの街撮りはなかなか楽しく、ついつい撮影枚数がかさんでしまいます。開放のF値も実際使用する上では何ら制約無く、気持ちの良い撮影が可能でした。描写はこれだけ撮影しても、何ら破綻をきたさない優秀さ。これだけしっかりした画を創ってくれれば、撮影やプリント段階で少々手荒な事をしても、十分なクォリティを確保してくれます。スペックだけでは測れない良いレンズ、オススメの1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff