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タムロン『SP 150-600mm Di VC USD G2 (Model:A022)』インタビュー 【Part 2】


    レンズ鏡筒内部のフォーカスカムやズームカムを改良することで従来モデルの最短撮影距離2.7mから2.2mへの短縮を実現しております。最大撮影倍率も1:5から1:3.9に向上し、テレマクロ領域に踏み込めるような撮影が楽しめるようになりました。

    他社のお話とはなりますが、圧電素子の収縮運動を直進運動に変換するようなフォーカス駆動も現れておりますが、今回のフォーカス、ズームカムは技術的な革新があったのでしょうか。

    カムの大きな仕組みは従来とは変わっておりません。ただ、滑らかに動くようにカムの切り方や精度も改良を加え、製造工程も含めた見直しを図っています。

    旧製品とはなりますが、御社のSP 200-500mm F5-6.3 Di LD IF(A08)はズームによって繰り出す頭の部分がかなり重く、使い込まれたレンズは自重落下がネックでした。良く言えば小気味よくズーミングができると言えなくもないですが…(笑)

    150-600mmも新・旧モデルともに同じくフロントヘビーのバランスにはなっておりますが、自重落下は見受けられないですね。それでいてどこかでグッとズーミングが重たく感じることもないのが好感触です。やはりズーミングのスムーズさと自重落下の抑制は相反することに思えますので難しい問題なのでしょうか。

    トルクの重さとスムーズさのバランスを光学部門と協力し、カムの立ち方に議論を繰り返しました。トルクのシミュレーションを何度も重ね、絶妙なバランスへ落ち着いたと自負しております。

    またおっしゃる通り一群のレンズが重たいため、しっかりと支えられる剛性も意識しております。

    続いて望遠端600mmの最短撮影距離で撮影したテレマクロ風の作例をご覧ください。

    なるほど、600mmの画角での花の撮影はまた違った楽しみ方ができそうですね。本日タムロンさんに向かう電車の吊り広告に「巾着田の曼珠沙華」を見かけました。一輪の彼岸花にクローズアップしてピントを合わせ、背景を他の花で赤い一面に彩ったりと妄想が膨らみますね。

    旧モデルA011の制御回路・AFアルゴリズムを改善することでAF機能が向上しております。

    今までに実写したことのあるタムロン製望遠ズームとしては、SP 70-200mm F2.8 Di VC USD(Model A009)、SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(Model A005)がありますがそれらのレンズと比べ最新レンズの性能はどれほど向上していますでしょうか。

    AF性能の向上について説明させて頂きますと、具体的な数値の公表は控えさせていただきますが、ワンショットAF時・コンティニュアスAF時ともに速くなっております。また今回は今まで以上にフィールドテストを重点的に行っています。

    御社の超音波モーターには小型レンズ向けの「PZD(Piezo Drive)」とトルク重視の「USD(Ultrasonic Silent Drive)」がございますが、そこまでの高速化が実現したとなると今回採用されているUSDは従来のものとは異なるものなのでしょうか。

    AFアルゴリズム最適化に加え、マイコンを変更、AFとVC(手振れ補正)の制御を切り離し、従来から攻めた制御となっています。

    部材を変えるだけでなく制御回路を変更しブラッシュアップしたことにより、AF駆動の停止時、減速や加速する時の衝撃を半減しております。

    私が使用した感じではコンティニュアスAF時には2倍くらい速くなったと感じました。AF性能の向上について、御社のメーカーサイトでも数値的な説明は為されていなかったと思いますが、勿体ないですね。試用させて頂いた限りではとても手応えを感じました。

    場面によって発揮できる性能に差が出ますし、またマルチマウントに対応した製品を開発しているため具体的な数値での開示は控えております。

    良い意味で不器用といいますか(笑)

    カメラ製品に関わらずピーク時の性能でアピールしているメーカーも現存すると思いますが、ユーザーメリットのある情報が伝わり切れないのはやはり勿体ないですよね。

    耳の痛い問題ではありますが、あらゆる状況でクリアできなければ数値的には謳うことをしないのが、タムロンの品質基準となっております。

    今回スポーツや疾走する野生動物などの作例が掲載できていることも、実際の性能の裏付けと捉えて頂ければと思います。(笑)

    たしかに、メーカーサイトの走り幅飛びのサンプル写真はかなり意表を突かれた気がします。

    動きものの撮影って、横切って行くのものは速度変化がなければAF性能任せでなくても撮り切れますが、奥から手前に迫ってくるような被写体の撮影はレンズのAFの追従性能とスピードが物を言いますよね。新しい次元に達したと感じました。

PhotoPreview

[ Category:etc. | 掲載日時:16年09月23日 20時56分 ]

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