テッサータイプのレンズ構成と円形絞りを採用した『Ai 45mm F2.8P』。
全長僅か「17mm」という薄さ、重量は「120g」と軽量ながら細部までしっかりと造りこまれた逸品です。
筆者がこの仕事に携わって十数年。不動の人気を誇る銘玉とは知りながらも、どうしてこんなに『このパンケーキレンズ』が人気があるのかが理解が出来ませんでした。現在はパンケーキレンズのラインナップは各社多く存在しますが、たしかに当時は今ほど多くはありませんでした。ただそれだけでしょうか?
そんな疑問を持ちつつ、ボディ内手ブレ補正機能を搭載した話題の新製品「Nikon Z 6II」に「マウントアダプターFTZ」を装着し、さっそくファインダーを覗きました。
先程まで最新の広角Zレンズ「NIKKOR Z 35mm F1.8 S」と、優しく美しいボケが魅力的な「Ai Nikkor 50mm F1.2S」で撮影していたのですが、正直驚きを隠せません。
開放F2.8から重厚感のある描写力。そしてパンケーキレンズとは思えないナチュラルなボケ味はウィンドウ越しの光景を透き通るようなクリアな表現で描いてくれました。
基本的にピクチャーコントロールは「ニュートラル」か「スタンダード」を使う筆者ですが、色々試した結果「ビビット」がこのレンズには良くあう!と感じました。
ウィンドウ越しに水が流れる光景ですが、透明感と水の動きが立体感とともに写しだされていることに驚きました。
20年近く経過したレンズであり、忘れてはならないのは「全長 17mm」の薄型レンズであること。
金属質な造形の被写体を撮影すると、現代のレンズとは少し表現の仕方がより自然な印象を受けます。
おそらくポートレート撮影などでも使いやすいことでしょう。
APS-Cに45mmは少し長く感じられるセレクトだとおもいますが、「Z 6II」はフルサイズセンサーを搭載しておりますのでこのような風景スナップにも扱いやすいです。この薄さと軽さを武器に1本だけで旅にでるのも良いでしょう。
マニュアルフォーカスレンズはピント合わせが難しい!そのような印象を抱かれる方も多いと思いますが、こちらのレンズはピーキング機能や拡大機能を使わなくても「ピントの山」がとてもつかみ易いのでマニュアルフォーカス初心者の方にもおすすめです。