2016年秋に発売されて以降、衰えぬ人気を博している『FUJIFILM XF23mm F2 R WR』。
文句なしの描写力、5万円を切るリーズナブルな価格帯、コンパクトでスタイリッシュなデザイン、そして最速0.05秒の高速AFを備える等、フジフイルムのカメラをお持ちの方ならば「買わない理由がない」レンズなのではないでしょうか。
本レンズはシルバーモデルが2017年2月16日に発売されるということで、今一度本レンズの魅力に迫るべく『X-Pro2』に装着して撮影に出かけてきました。
レンズの性能はもちろんのこと、フィルムシミュレーションも色々と変えて撮影をしていますのでその点もぜひお楽しみいただければと思います。
撮影日当日はとても良いお天気だったのですが、いかんせん風が強くて困りました。先行き不安だな…と思いきや、実際に撮れた写真を見てみると、風と闘いながら撮影していたとは思えないくらい木々がピタッと止まって写っているではありませんか!さすが高速AFを備えているだけはあります…。頼もしい限り。
また、真逆光での撮影であるのにも関わらず、フレアやゴーストがしっかりと抑えられているのも嬉しいポイントです。
せっかくX-Pro2に装着しているので、フィルムシミュレーション「ACROS」で。
モノクロは何を撮ってもかっこよく見えてしまいますが、その中でもこの「ACROS」フィルターは群を抜いて完成度の高いモノクロ写真を導き出してくれます。
ディスプレイ越しに撮影をしているのにも関わらず、すっきりとヌケの良い描写が嬉しいですね。
途中、素敵な古民家カフェを見つけたので立ち寄ってみました。
強い風が吹き荒れる外の寒さなんてなんのその。暖かい日差しが降り注ぐ窓際の席で、暫しの休息。
ひな人形がたくさん展示してあったので、撮影をさせて頂きました。
思えばこんなふうにじっくりとひな人形を見たことって無いかもしれません。細かい模様ひとつひとつが丁寧に刺繍されていて、この衣装を作るだけでどれだけの時間がかかるのかと思ったら気が遠くなりそうです…。
拡大してみると、目に見えない細かい所まで写っているのがよく分かります。
本レンズは明るいレンズなので、室内での撮影も楽々。風景やスナップ撮影はもちろんのこと、物撮りでも十分活躍してくれるレンズです。
高速AFを謳っている本レンズですが、静音性の素晴らしさも忘れてはいけません。ほぼ音がしないといっても差し支えないレベルで静かです。
また、金属で作られているため高い堅牢性を誇り、更にそこに防塵・防滴性能まで付いてきます。リーズナブルだからといって抜かりなし。さすがフジフイルム!
各所では既に梅が咲き始めていますが、今回の撮影でも何度か梅の花を見かけました。場所によっては既に河津桜が咲き始めているところも。そんなふうに街がどんどんと色づいていく様子は何度見ても心が躍ります。
そして、街が色づいていくのと比例して、カメラを手にしている人も増えていくように思います。スマートフォンだったり一眼レフだったり、X-Pro2のようなミラーレスだったりとカメラは様々ですが、春はスナップ撮影が一番楽しい時期なのかもしれませんね。
そう考えると、スナップ撮影にぴったりの『XF23mm F2 R WR』は、これからの季節最も活躍してくれるレンズなのではないでしょうか。
開放でも周辺の光量落ちはほぼ無く、目立った歪みも見られません。
ただし、開放の状態で近距離撮影をした場合にピント面が少し柔らかくなる印象を受けました。個人的には柔らかい描写が好きなので嬉しい誤算でしたが、気になる方はF2.8~F4くらいまで絞って撮影をすると良いかもしれません。
…と、ちょっとネガティブな感じに書いてしまいましたが、ポジティブに考えるとこのレンズは子どもの写真や女性の写真を撮るのに向いているレンズですね。ポートレートでも活躍してくれそうです!
私が一番好きなフィルムシミュレーションは「クラシッククローム」です。少しくすんだような色合いがたまりません。
余談ですが、フジフイルムのメーカーサイトを見てみると、クラシッククロームの説明のところに「青空の表現には特にこだわっている」といった記載がありました。確かにこの独特な青は、他のメーカーのカメラでは味わったことがありません。
こんなに深みのある色が、設定を1つ変えるだけで出せてしまう…。フジフイルムの色に対するこだわりこそが、数多くのカメラマンに愛される秘訣なのだろうなと納得してしまいました。
離れて撮影をすると、開放でもキリリとシャープなピント面。先ほどのグラスの写真と比較してみるとその差は一目瞭然です。
『FUJIFILM XF23mm F2 R WR』いかがでしたでしょうか。
レビュー等でもよく『XF 23mm F1.4 R』と比較されていますが、性能の面だけを見てしまえばやはり前者の方に軍配があがります。…ですが、撮影に持ち出す機会が増えること、そして何より「気軽に使える」ということ。この2つがこのレンズの最大のメリットであると私は思います。
日常のいたるところに転がっている「シャッターチャンス」。その大事なシャッターチャンスを撮り逃さないという点においては、このレンズの右に出るものは居ないのではないでしょうか。スナップ撮影を主とする方にはぜひ一度使って頂きたいレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff