本日はGFシリーズ最小最軽量レンズ『FUJIFILM フジノン GF50mm F3.5 R LM WR』のご紹介をいたします。非球面レンズ1枚を含む6群9枚構成で、35mm判換算:40mm相当となる標準レンズ。鏡筒の10ケ所にシーリングを施した防塵防滴の耐低温構造を採用しています。今回はせっかくなのでGFX50Rと組み合わせて約1,110gの世界最軽量ラージフォーマットセンサーカメラで組んで撮影してきました。この組み合わせは本当に軽く1日通して肩に掛けても全く疲れることなく撮影が出来ました。。ラージフォーマットを手軽に持ち歩く、という素晴らしい時代の代表者ともいえるこの組み合わせ。ぜひ写りをご覧ください。
約半分の画像サイズですが、ぜひ画像を拡大してご覧ください。ややホワイトバランスを青くしましたがひんやりとした氷の冷たさまで伝わってくるような写り、非常にクリアな解像で氷の中の気泡がしっかり写っています。光を受けた氷の輝きもとても美しい描写になりました。
氷瀑(ひょうばく)が見られる駅に着いて開口一番「寒い」と呟きました。ずっと自然に凍ってできた物だと思っていましたが、地元の方が水を撒いてこのような造形が作られているそうです。しかし山が寒いのは間違いありません、人工的とはいえこんな神秘的で幻想的な風景を見ることが出来るのとは。地元の方々の努力に感謝です。
この季節はまだ少し淋しい色をしていますが、目の前に広がる広大で自然豊かな風景を見るとやはり足が止まります。焦点距離は35mm判にして40mmという準広角域なのでボケを重視しているレンズというわけではないのですが、被写体の立体感やボケ量などとても素晴らしい写りを見せてくれました。
絞ったカットですがそれでもなお立体感がしっかりと出ています。しっかりと光を受け止めてくれているおかげなのか、透明感があってクリアな描写となりました。
トタン屋根越しの柔らかい光が印象的だった1枚。手前の紐の光加減で快晴具合がお分かりいただけると思います。この大人しいトーンはレンズの表現力によってはうまく伝わらないこともあるのですが絶妙な描写だと思います。
拡大した時に気づいたのですが下のほうにすごい睨んでくる猫の置物がいることに気付きました。ガラス1枚隔てた先というのは撮ったあとに写りを確かめては微妙なことが多いのですが、今回は「お?」と目が留まりました。解像度が高いというのは勿論何よりもこの立体感が素晴らしく、ラージセンサーの豊かさというべきか「そこに在る」ということをとても意識出来ました。
久しぶりに土手を歩きながら土手沿いの草っ原を画面いっぱいに収めてみました。のっぺりしてしまいそうな画でもしっかり立体感を感じることが出来ました。ラージフォーマットを使っていると、センサーサイズの恩恵というものをとても実感します。
土手といえば学校帰り。なんていうのは、もはや古いイメージでしょうか。筆者は少年時代の帰り道に土手がなかったので一種の憧れみたいなものもあるかもしれません。
楽しそうに笑い合う少年達をしばらくぼーっと眺めていました。焦点距離の40mmという画角はこういう斜線を入れると奥行きが出て気持ちいいです。
突然の眩しさに目を細めながら陽のほうを見ると、逆光に照らされ黄金色に輝く猫じゃらしが。真逆光のシチュエーションということもあり撮ってみました。ゴーストもほぼ出ず、金網が美しい前ボケになって思っていた以上に良い画になってくれました。
暖色系の電球ランプが照らす置物の組み合わせがお洒落なテーブル。開放絞りながら花瓶代わりのワインボトルのラベルフォントまでスッキリ写りました。仕事終わりのコーヒー一杯の合間にこんな画が撮れてしまったので、もう少し頑張りたくなってしまいました。さて、最後の一歩きです。
刻々と変わり続ける空の色。コーヒーの後にそのまま帰っていたら、この空を見逃していたと思うと悔やんでも悔やみきれないところでした。なんとも筆舌にしがたいグラデーションの美しさではないでしょうか。『FUJIFILM フジノン GF50mm F3.5 R LM WR』はお手軽なレンズで描写はそれなりではないかな、と思っていた自分に反省する撮影となりました。
最も手軽なラージフォーマットシステム
折角ラージフォーマットを手にしたのだから少しの重さは気にしない、重いのが当たり前!と思いながら撮影のたびに精魂尽き果てていた筆者にとっては、この軽さは軽い衝撃でした。ラージフォーマットの魅力というのは「奥行き」や「色の深さ」などの優れた要素が合わさって解像感やボケの美しさに繋がっていると思うのですが、この軽量小型レンズは十分にその魅力を引き出す能力を持ったレンズだと実感できました。ラージフォーマットに興味はあるけれど重さがネックだと思っている方は、まずはこの組み合わせで扉を叩いてみてはいかがでしょうか。きっと迷っていた時間が勿体なかったと思える世界が待っているはずです。
Photo by MAP CAMERA Staff