トキナーはこれまでに、atx-mシリーズのフジフイルムXマウント用レンズとして「23mm F1.4」と「33mm F1.4」というラインナップを発売してきました。今回は、新しく加わる『Tokina atx-m 56mm F1.4』をご紹介します。準広角にあたる23mm、標準にあたる33mmに続いて中望遠単焦点にあたるフルサイズ換算84mm相当の当レンズ。一貫して「ミラーレスの利点を損なわない小型・軽量」をコンセプトに設計されているとあって非常にコンパクト。それでいて写りは非常にナチュラル。大きな「クセ」の様なものは感じられず自分のイメージを投影しやすいので、創作意欲を掻き立てられます。ファンの心を掴んで放さないフジフイルム独自の「フィルムシミュレーション」との相性も考慮されているとの事。ボディには『FUJIFILM X-T4』をチョイスし、様々なフィルムシミュレーションを愉しみながら撮影を行いました。是非ご覧ください。
夏を感じさせるカットを目指し、初めて訪れたひまわり農園。自然界にある黄色の中でも一番元気を貰える黄色ではないかと感じます。程よい圧縮効果が密集感を演出、フジフイルムらしい色再現が気持ちよく青空を描いてくれたおかげで画面いっぱいの「夏」を切り撮ることが出来ました。
この日は非常に強烈な夏の日差しが降り注いでおり、こまめな休憩を入れての撮影を行いました。涼を得るべく立ち寄った古民家カフェ、汗だくの私を見てすぐさま扇風機を用意してくれるなど、細かな気遣いと優しさに目からも大粒の汗がこぼれ落ちそうになります。いただいたアイスコーヒーは体に染みいる様で最高でした。
河岸を変えて、今度は穏やかな気持ちを得るべく神社を目指します。道中の竹林に差し掛かると、青い香りと何とも言えないマイナスイオンを感じました。すらっとした竹にピントを合わせると、凛と伸ばした背筋が好印象。つられて撮影している自分の背筋も良くなってしまいます。『Tokina atx-m 56mm F1.4』は純正レンズと同等の高いAF性能が備わっており、意図した場所にスッとピントが吸い寄せられます。
美しい構えの門。余談ですが、Kasyapaの撮影をしていると門や扉、窓の写真を割合多く撮影している事に最近気づきました。身近に造形美を感じられる被写体である事ももちろん、レンズの歪みの無さを見て頂くのにうってつけなのではと思っています。何より、沢山の人や物がその建造物に出入りするための「生きた場所」というのが個人的にも惹きつけられるポイントかもしれません。
身を寄せ合う手漕ぎボート。パステルな船体の色とは裏腹に、すこし寂しい雰囲気が漂っているようにも感じます。フィルムシミュレーション「クラシックネガ」が絶対にハマるシーンだなと感じ、撮影してみるとやはりぴったりです。コントラストが高く日と影のパキッとした雰囲気がたまりません。
「あともうひと画角」を叶えるレンズ
誰もが使いたい黄金のラインナップが出揃い始めたatx-mのXマウントシリーズ。今回の『Tokina atx-m 56mm F1.4』も中望遠として確かな実力を持っていました。大口径らしい豊かなボケ味、芯の通った描写。そして高い撮影能力を有しながら、やはり驚くべきはその軽量さです。質量わずか315g、ペットボトルよりも軽いとなれば自ずと使用頻度も増えるでしょう。なにより、機材写真を見て頂いた通り『FUJIFILM X-T4』との見た目の相性の良さもピカイチ。純正にも沢山魅力的なレンズが取り揃えられているフジフイルムですが「今日は風景撮りしたいから広角メインだけど、中望遠も使いたくなるかも」というようなプラスワンのシーンにもジャストフィットする一本、ぜひお試しいただければと思います。
Photo by MAP CAMERA Staff